今週は週初の米ISM製造業景気指数やJOLT求人件数などが弱い内容となり、市場の米大幅利上げ観測がやや後退。株高・債券利回り低下、ドル安とリスク警戒の動きが緩和された。ただ、この動きは長続きせず、週末の米雇用統計を控えて再び警戒感が広がっている。週央以降に発表された米ADP雇用統計やISM非製造業景気指数が比較的強い内容だったことも影響した。
足元での一連の米金融当局者らからもインフレ対応はまだ道半ばとの発言が相次いでいる。経済指標結果に揺れるマーケットに、ピシャリとタカ派発言を投げつけた格好。週初の楽観ムードは消えて、再び株安・債券利回り上昇、ドル高へと方向が変化して米雇用統計を迎える状況だ。
日本時間午後9時30分に9月米雇用統計が発表される。来週の米消費者物価指数とともに、米経済状況および今後の米利上げ動向にとって重要な材料だ。米金融当局者は完全雇用状態との認識を示しており、これ以上の強さはインフレ抑制にとってはマイナスととらえられているようだ。その意味では、失業率の小幅な悪化や、賃金の伸び鈍化などが米債買い、株高といった反応につながることが期待されている。一方で、強すぎる雇用増は米債売りと株安を招きやすいものとみられる。雇用者数、失業率、賃金の3点チェックとなることから、傾向が一致しないと、市場の反応は複雑なものとなりそうだ。
その他の経済指標は、カナダ雇用統計(9月)、米卸売在庫(確報値)(8月)など。米雇用統計のあとは発言タイムとなる。ウィリアムズNY連銀総裁、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、ボスティック・アトランタ連銀総裁などの講演やイベント参加が予定されている。米雇用統計後の反応が一巡し、一連の当局者発言内容が来週の相場に向けた市場のムードを形成する可能性もあろう。
minkabu PRESS編集部 松木秀明