東京不在の21日のアジア市場は比較的落ち着いた相場展開となっている。クレディスイス問題について、スイス中銀からの流動性供給策が発表されたが、同社株の反発は限定的だった。スイス政府主導でスイスのライバル銀行であるUBSとの合併が表明された。米、欧、英、日、スイス、カナダの各中銀協調でのドルの流動性供給策も発表された。これで、ようやくクレディスイスをめぐる市場の不安心理は一服した。
昨日の海外市場ではリスク警戒の動きが急速に巻き戻されている。ドル円はロンドン序盤に一時130.50付近まで下落も、NY市場では131円台後半まで買い戻された。株式市場は上昇に転じ、債券買いの動きも収まった。ただ、積極的にリスクをとるムードにはなっていない。金融機関の破綻などの背景には、各国中銀による急速な利上げがある。インフレ対応を迫られているだけに、インフレ鎮静化までは対応の手を緩めるわけにはいかない。ECBは金融不安のもとでも予定通り50bpの大幅利上げを断行した。市場には、体力の弱い金融機関の破綻や経営危機が今後も出てくることへの不安感が残っているようだ。
今週は米FOMCや英金融政策委員会(MPC)が金融政策を発表する。ECBと同様にインフレ対応を続けることができるのか。もしくは、いったん利上げを停止して金融環境の変化をチェックするのか。きょうは3月の豪中銀議事録が公表されており、「4月の会合で休止のケースを再検討することで合意」としていた。豪ドル売りの動きが広がった経緯がある。金融不安よりも前の会合とあって、ECBとは単純に比較はできないが、かなりターミナルレートに近いことが意識されていたようだ。各中銀の動向について、市場には不透明感はまだまだ広がりそうだ。現時点での今週の米FOMCに対する利上げ観測は、据え置きが25%程度、25bp利上げが75%程度となっている。
この後の海外市場で発表される経済指標は、英公共部門ネット負債(2月)、香港経常収支(第4四半期)、ドイツZEW景況感指数(3月)、カナダ消費者物価指数(2月)、米中古住宅販売件数(2月)などが予定されている。
発言イベント関連では、ラガルドECB総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁などが中央銀行デジタル通貨(CBDC)について講演を行う。米20年債入札(120億ドル)が実施される。米主要企業決算は、ナイキ、ゲームストップなどが注目される。
minkabu PRESS編集部 松木秀明