米債利回りの上昇とともに、基調としてのドル高の流れが継続している。市場では年内あと2回の米FOMC会合で、それぞれ75bpずつの利上げを織り込んでいる。一方で、日銀の緩和継続姿勢は揺るぎない状況。日米金利差拡大観測が根強いドル高・円安の流れを形成している。ドル円は昨日、心理的節目となる150円台を付けている。
そのなかで、政府・日銀による円買い介入を警戒する声も高まっている。しかし、水準よりも急変動に対応する姿勢が示されている以上は、なかなか本格的な介入には踏み切れないようだ。単独介入による限界も指摘されるところ。9月22日の明確なメッセージを伴った介入のあとは、覆面介入とうわさされるような動きが2回あったものの直ぐに値を戻している。なかなか、円安・ドル高の流れを覆すことは困難なようだ。
ドル高の流れに変化がみられるとすれば、米FOMCの利上げ限界説のようなものが高まることが必要となりそうだ。それにはインフレのピークアウト見通しが広がることが必須であろう。現時点では、まだその兆候はほとんど見られていない。エネルギー価格上昇が一段落しても、インフレ圧力は広範に観察されている状況だ。
きょうは週末を控えて、短期的な調整圧力や市場流動性が細ることが指摘される。海外市場で円安・ドル高の動きが速まるようだと、円買い介入が警戒される点は念のため留意しておきたい。ドル円の1990年8月高値は151.55レベルだった。現在の水準からは1円以上離れてはいるが、注目水準となりそうだ。
ポンド関連では、昨日にトラス首相が辞任した。一連の経済政策が市場の混乱を招いたことに対する引責辞任となった。ポンド相場は一時、買いの反応を示したが、すぐに収束している。混乱の相場展開は一段落した感がある。今後は11月3日の英金融政策委員会待(MPC)に視線が移動しそうだ。
この後の海外市場で発表される経済指標は、香港消費者物価指数(9月)、カナダ小売売上高(8月)、ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値)(10月)など。発言イベント関連では、ウィリアムズNY連銀総裁、エバンス・シカゴ連銀総裁の講演やイベント参加が予定されている。米主要企業決算では、ベライゾン、アメリカンエキスプレスが注目される。
minkabu PRESS編集部 松木秀明