昨日の米消費者物価指数は、ヘッドラインの前年比が+8.2%と前回の+8.3%からさほど低下せず、市場予想を上回る結果だった。さらに、コア前年比が+6.6%と予想外に伸びが加速、40年ぶりの高水準となった。どこまで根強いインフレ圧力が続くのか、といった強い数字だった。
しかし、市場は直後のドル買い、米債利回り上昇、株安の反応が一巡すると、調整の動きを強めていた。特に米株の反発が急速で、ダウ平均は827ドル高で引ける堅調な動きをみせた。この動きが当面の材料出尽くしによる単なるポジション調整によるものなのか、それとも市場が米金融政策見通しのなんらかの変化の兆候を感じ取っているのか、週末の米株式市場の動向が注目される。
CMEフェドウォッチをみると、市場は11・12月の75bp利上げをほぼ織り込んでいる。来年に入ってからは、利上げ幅見通しが分かれているが、次第に50bp、25bpとペースダウンする見込みだ。来年前半には4.75%から5.00%あたりで上昇が打ち止めとの見方が有力。ただ、今後も粘着性のインフレが続く場合には、5%超となる可能性は否定できない。
ドル円は147円台に高止まりしている。発表直後には147.67レベルまで上昇、32年ぶりの高値水準となった。その直後に約1円幅の急落が入ったが、すぐに147円台に戻した経緯がある。着実の下値は切り上がってきている。ただ、再び日銀が円買い介入を実施するリスクは高まっており、足元では一進一退の展開になっている。
今月の米雇用統計と米消費者物価指数が出そろったことで、やや材料出尽くし感もある。今日発表される、米小売売上高(9月)米、輸入物価指数(9月)、米企業在庫(8月)、米ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)(10月)に対する市場の反応はやや鈍いものとなる可能性があろう。
この後のロンドン市場では、英国関連の報道に注意したい。英中銀の長期債一時購入措置は本日で終了する。その後の流動性支援策についても発表済み。あとは、ポンドの信認に影響を与えた根源である、英中期財政計画の内容変更の如何、およびその内容についての関心が集まっているようだ。ポンド相場は、英首相や英財務相の発言報道に神経質な動きをみせそうだ。
minkabu PRESS編集部 松木秀明