近年、悪材料が出て、その後回復するパターンが多くなっている。英国では2016年の国民投票からEU離脱の流れがその典型例だった。そして、足元では財源無き大型減税を打ち出したトラス政権が話題になっている。昨日のハント英財務相による減税案の撤回表明で、一息ついた格好になっている。ただ、トラス首相も失敗を認めているように、政権発足時のつまずきは大きい。今週は保守党内部からの辞任要求が高まっており、トラス首相にとっては最大の危機を迎えている。昨日は英財政危機が回避されたことが、株高、ポンド高につながり、市場全般に好ムードが広がったが、いつまで続くのか。引き続き英国関連の報道には注意を払いたい。
ドル円はここ一両日で149円台を付けている。9月22日に円買い介入が実施された時には140円台まで急反落した。しかし、それから1カ月たたない期間で150円をうかがう水準まで円安・ドル高が進行している。日々の変動は9月相場ほど荒れてはいないものの、1カ月の上昇幅は前回介入までの1カ月にほぼ匹敵するものとなっている。政府・日銀にとっては150円という節目の上抜け方が注視されるところとなっているものと推察される。
この後の海外市場で発表される経済指標は、ドイツZEW景況感指数(10月)、ユーロ圏ZEW景況感指数(10月)、カナダ住宅着工件数(9月)、カナダ国際証券取扱高(8月)、米鉱工業生産指数(9月)、米NAHB住宅市場指数(10月)、対米証券投資(8月)など。
発言イベント関連では、マクルーフ・アイルランド中銀総裁、シュナーベルECB理事、ボスティック・アトランタ連銀総裁、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁などの講演やイベント参加が予定されている。米主要企業決算では、ネットフリックス、J&J、ゴールドマンサックスが注目される。
minkabu PRESS編集部 松木秀明