この後の海外市場では週末に向けて神経質な相場が続きそうだ。きょうは手掛かりとなるような主要経済指標発表は少ない。ユーロ圏消費者信頼感・速報値(5月)が発表される程度。
インフレ対応で各国中銀が金融引き締め姿勢をとるなかで、株式市場は売りが先行しやすくなっている。アップル株が高値から2割超の下落となったことなどが象徴している。今週発表された小売関連企業の決算では先行き見通しがやや悲観的だった。インフレと金融引き締めで消費者の財布のひもが固くなることが懸念されているようだ。
英国、米国などはすでに利上げを開始しており、目下の焦点はECBの7月利上げ開始動向となっている。南北諸国の経済状況の格差などでなかなか中銀総裁らの意見が集約しにくい体質のECBだが、どの国もインフレ高騰に苦しんでいるだけに、今回の金融引き締めはスムーズに開始できそうだ。
株安が示しているように、今週の相場は今後の景気鈍化やスタグフレーションなどへの警戒感が前面に押し出されている状況。為替相場においてもこれまでの金利差から景気動向をにらんだリスク回避・選好相場へと注目ポイントが移動しているようだ。
アジア時間では中国が5年物LPR(ローンプライムレート)を予想以上に引き下げたことが好材料だった。香港株や上海株が堅調に推移している。日経平均や米株先物・時間外取引も買いが優勢。このムードが欧州・米国市場でも続くのかどうか、注意してみたい。
金融当局者の発言イベント予定は、ピル英中銀委員、センテノ・ポルトガル中銀総裁、デコス・スペイン中銀総裁、ウンシュ・ベルギー中銀総裁など。
週末にはバイデン米大統領が日韓訪問(韓国は20~22日、日本は22~24日の予定)、21日に豪州総選挙が実施される。
minkabu PRESS編集部 松木秀明