小売売上高は2月分が前月比+0.3%、前年比+17.6%と堅調な伸びを示しました。
米小売売上高は1月分が前月比+4.9%(速報時点では+3.8%)と大きな伸びを示しました。ただ、これは12月分の-2.5%(速報時点では-1.9%)の反動という面が大きいです。年末商戦が11月に前倒しされたことや、オミクロン株による感染拡大の影響などが、通常と違う消費行動につながって、月ごとの数字のぶれを誘ったものと見られます。
2月分の+0.3%は前回から大きな伸びの鈍化とはいえ、しっかりとした数字。前年比で見ると2月分の+17.6%は1月分の+14.0%以上に伸びています。
ただ、内訳を見るとやや厳しい状況も見られます。
最も伸びたのはガソリンスタンドの前月比+5.3%、前年比+36.4%。消費者物価指数のところでも見たように、直近のガソリン価格上昇が著しく、販売額で見た売上高拡大につながっています。米国ではニューヨークのマンハッタンなどごく一部を除いて車が生活必需品となっているため、ガソリンの価格弾力性は低くなっており、価格上昇が販売額拡大につながります。
自動車及び同部品も前月比+0.8%、前年比+17.2%とかなりの伸びを示しており、物価高の影響を感じさせる結果となっています。
今回は前月比+0.6%が見込まれています。3月のガソリン小売価格は全米全種平均で前月比20.0%の大幅な上昇(EIA査)となっており、全体を押し上げると見込まれます。自動車価格の上昇なども継続しており、予想前後の数字は十分にありそうです。
物価高に対して、力強い雇用情勢からの賃金の伸びである程度対応している状況はドルにとっての安心材料です。ただ、ブレの大きい指標だけに予想外に弱く出た場合は要注意。前月比マイナスなどの状況が見られると、大きなドル売りにつながる可能性があります。
MINKABU PRESS 山岡和雅