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【来週の注目材料】エネルギー価格一服で物価は少し落ち着くか=米消費者物価指数

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2022-08

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2022-08-07
市場予測
【来週の注目材料】エネルギー価格一服で物価は少し落ち着くか=米消費者物価指数
 5日の米雇用統計は非農業部門雇用者数が市場予想の倍以上の伸びを示すなど、衝撃的な強さとなりました。3日の米ISM非製造業景況感指数も強く出ており、先月28日に発表された米第2四半期GDP速報値が予想外に前期比マイナスとなり、2期連続でのマイナス成長というテクニカルリセッション入りしたことを受けた米景気の先行き不透明感がかなり払しょくされています。

 次回9月のFOMCまではもう一回雇用統計の発表があり、少し気が早いとはいえ、3会合連続となる0.75%ポイントの利上げ期待が強まる展開となっています。

 そうした中、この後の利上げペースに影響を与えるもう一つの重要なファクターである物価関連統計にも注目が集まります。10日に7月の米消費者物価指数(CPI)が発表されます。米国のインフレターゲットの対象はPCEデフレータであってCPIではありませんが、変化具合が似ており、発表が2週間ほどCPIの方が早いということもあり、市場ではCPIの方に注目が集まることがほとんどです。

前回のCPIは市場予想を超える前年比+9.1%の伸びを示し1981年11月以来約40年半ぶりに9%台に乗せる結果となりました。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコアは、前年比+5.9%と市場予想は超えましたが、3カ月連続での減速となっています。

 物価高の主な要因はエネルギー価格の上昇。特にガソリンは前年比+59.9%と5月の+48.7%から大きく上昇。前月比でも11.2%の伸びとなっており、6月のガソリンの高さが感じられます。食料品は+10.4%と二カ月連続で二けたの伸び。中でも家庭用食品は+12.2%となりました。車社会の米国で生活必需品であるガソリンと家庭用食品の大きな伸びは家計の財布を直撃しており、米FRBに対するインフレ対応圧力につながっています。

 一方、サプライチェーン問題で生産が抑えられ価格上昇が目立っていた自動車については、中古車が+7.1%と5月の+16.1%から大きく鈍化。新車も11.4%と5月の+12.6%から小幅ながら鈍化となっています。一時に比べると価格上昇圧力が弱まってきているようです。

 今回の市場予想は前年比+8.9%と小幅ながら伸びが鈍化する見通しとなっています。7月に入ってNY原油価格の上昇が一服したことでエネルギー価格の伸びが抑えられるとの見通しが背景にあります。ガソリンの小売価格は6月に週平均で付けた1ガロン当たり5ドル超え(全米・全種平均/米EIA調査)から、直近で4.1ドル台まで落ちています。月平均でみると6月の4.929ドルから7月は4.559ドルと約7.5%の低下となっています。

 もっともエネルギー価格の低下を除くと、物価上昇傾向は継続見込みです。食品・エネルギーを除いたコア部分の予想は前年比+6.1%と前回の+5.9%から伸びる見込みです。これまでのエネルギー価格上昇によるコスト高で、多くの分野において物価の上昇が見込まれています。

 NY原油はピークアウトした感がありますが、まだまだ予断を許さないところ。家庭用食品の上昇などが続いているようだと、FRBへの物価対応圧力が続くとみられます。

 金利先物市場動向からみた利上げ割合を示すCMEFedWatchを確認すると、次回9月のFOMCでの利上げは、5日の米雇用統計発表までは0.50%ポイントに縮まるとの見通しが約66%と大勢になっており、3会合連続の0.75%ポイントの利上げという見通しが約34%でした。しかし、米雇用統計の好結果を受けて、0.75%ポイント利上げの見通しが約70%となっています。

 全体の数字が予想に反して下がらなかったもしくは上昇した場合は、0.75%ポイント利上げの見通しがさらに強まり、一部で1.00%ポイントの利上げ見通しまで出てくるとみられます。

 ただ、米株を中心に世界的な株安の動きが出るかどうかが気になるところ。ドル買いと同時に円買いが強まる可能性があります。エネルギー問題などを抱えてユーロドルの上値が重くなっていることもあり、株安が目立つようだとドル円の上昇よりもユーロドルでのユーロ売りドル買いの反応が大きくなる可能性があります。

MINKABU PRESS 山岡和雅

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