今月のFOMCでは2会合連続となる利上げを決定しました。利上げ幅は3月の0.25%ポイントから0.5%ポイントに拡大されています。0.5%ポイントの利上げは2000年5月以来となります。
また今月のFOMCでは6月からのバランスシートの縮小(QT)も決定しました。これらの決定はおおむね市場予想通りとなりましたが、今回の議事要旨で、この決定に際してのメンバーの姿勢などが注目されるところとなっています。
今月のFOMC後の会見でパウエルFRB議長は、6月と7月のFOMCでの0.5%ポイントの利上げ継続に言及しました。大幅利上げ継続の姿勢をはっきりと示した議長の姿勢の背景にある、FOMCでの議論の内容が注目されるところです。
また、パウエルFRB議長発言で市場の1回0.75%ポイントの利上げへの期待感が一気に後退しました。議長以外のメンバーが0.75%ポイントの利上げにどこまで言及していたのかなども注目されるポイントとなります。
米国の物価は11日に発表された4月の米消費者物価指数(CPI)が前年比+8.3%となるなどかなり高い水準で推移しています。米CPIは3月の前年比+8.5%から鈍化していますが、これは原油高が少し抑えられたことにより3月から4月に向けてガソリン価格が低下したことが主要因でした。3月分の消費者物価指数の内訳では、前年比+48%となっていたガソリン価格は、4月分では+43.6%となっています。水準的には相当に高いですが、3月からは鈍化した分、4月分の鈍化につながっています。
もっとも、ガソリン以外の項目を見ると、食料品などを中心に3月以上に物価が大きく上昇しているケースが目立ちました。そのため、全体の数字も3月よりは鈍化したものの、市場予想よりは高いという結果になりました。
4月分の数字如何では物価のピークアウト感が高まるという期待が一部で広がっていましたが、あくまでエネルギー価格の上昇一服による一時的な鈍化で、しかも鈍化が小幅なものにとどまったという印象を与えました。さらに、ウクライナ情勢の長期化などから、ガソリン価格は5月に入って再び大きく上昇しています。4月は月平均のレギュラーガソリンの価格(EIA調査・全米全種平均)が1ガロン当たり4.109ドルでしたが、5月に入ってその水準を大きく上回る推移が続いています。週ベースでも数字が示されており、直近5月第2週の週平均価格は4.491ドルと4月の月平均より約9.3%高い水準で推移しています。5月以降、物価高傾向が継続する可能性が相当に高いと見られます。
こうした状況の中、FOMC議事要旨において、今後の積極的な引き締めに前向きな姿勢が示されるようだと、9月以降の大幅利上げ継続期待が強まります。
金利先物市場動向から見た利上げ確率を示すCMEFedWatchでは、6月、7月の0.5%ポイント利上げをほぼ完全に織り込んだ後、9月については0.25%利上げと0.5%利上げで見通しが拮抗しています。議事録次第で0.5%見通しが強まるようだとドル買いにつながると期待されるところです。
MINKABU PRESS 山岡和雅