また今回に関しては、前回2021年第4四半期が前期比年率+6.9%という大きな伸びを示した反動も見込まれるところとなっています。ただ、5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5%利上げがほぼ確実視され、その後も大幅利上げが続く可能性が強く意識される中、経済成長の鈍化は厳しい材料。約40年ぶりの物価上昇を見せる中で物価高の中での景気鈍化というスタグフレーション懸念にもつながります。
まずは前回2021年第4四半期の数字を振り返ってみましょう。
GDP全体の約7割を占める個人消費は前期比年率+2.5%と、第3四半期の+2.0%から伸びが強まり、全体を支えました。設備投資も+2.9%と第3四半期の+1.7%から延びています。また、前回は住宅投資が3期ぶりにプラス圏となり、前期比年率+2.2%と堅調な数字を示しました。
このように全般的に力強い結果を示していますが、前期の大幅な伸びの要因となったのは何といっても在庫の伸びです。GDP成長率に対する寄与度をみると在庫投資が5.32%と個人消費の1.76%などと比べても圧倒的です。なお、在庫同様に寄与度のみが示される純輸出(輸出-輸入)に関しては、-0.23%とマイナスになっています。
こうした状況を踏まえて今回第1四半期GDPの見通しですが、前期比年率1.0%の伸びが見込まれています。個人消費の見通しが+3.4%と前期を超える伸びが期待されていますが、前期の反動もあって在庫投資が伸び悩むが高く、前回からの伸び鈍化につながりそうです。
とはいえ、在庫投資は期によってばらつきがあるもの。GDP全体として前期が強く出すぎたことを考えると、予想程度の伸びの鈍化であれば、今後の大幅利上げに向けた動きを抑えてくる可能性は低そうです。
予想を超えて前期比マイナス圏まで沈んだ場合はさすがに警戒感が広がりそう。ドル売りが一気に進む可能性があるだけ要注意です。
MINKABU PRESS 山岡和雅