19日、20日に年内最後となる日銀金融政策決定会合が開催されます。金融政策は現状維持が見込まれています。
円安やエネルギー価格の上昇などを受けて、原材料・コスト高を背景とした値上げが相次いでおり、先月発表された10月の消費者物価指数(CPI)は生産食料品を除くコアで前年比+3.6%まで上昇。23日に発表される11月のCPIは+3.7%とさらに上昇見込みです。12月のCPIでは4%に乗る可能性が指摘されています。
12月(第4四半期)の日銀短観では、大企業非製造業の業況判断DIがコロナ前2019年12月以来の高水準である+19まで上昇するなど、企業の状況も改善傾向が見られ、来年の春闘での大幅な賃上げ見通しについて、経団連会長が驚きはないと発言するなど、賃上げ実現に向けた動きも期待されています。こうした状況は物価高継続への期待感につながっています。
14日には、日銀の政策検証がらみで円買いが入る場面が見られました。複数関係者からの情報として、来年4月8日で任期満了を迎える黒田総裁の次の体制下で金融政策の点検・検証が行われるとの報道がきっかけになりました。黒田総裁はこれまでも繰り返して発言してきたように緩和政策の維持を任期中続ける見込みが高いですが、物価高が進み、さらにその物価高が続く可能性が出てきたことで、市場では緩和姿勢後退への期待がくすぶっています。こうした状況が今回の報道を受けた円買いにつながった形です。
とはいえ、今回の会合で何らかの大きな変化が出る可能性が小さいという印象ですが、海外勢を中心に緩和後退への期待は根強く残っています。
2015年から政策金利が-0.75%と日本よりも厳しいマイナス金利政策を長く続けてきたスイスが、今年の6月に15年ぶりの利上げに踏み切り、今月15日に3会合連続での利上げで+1.0%まで金利を引き上げたことや、パンデミック中ゼロ金利を維持していたスウェーデン国立銀行(中央銀行・リスクバンク)が今年6月に利上げに踏み切り、9月に予想外の1.0%利上げに踏み切るなどの積極利上げにより、2.5%まで政策金利を引き上げていることなども、日銀への主に海外勢からの引き締め期待につながっていると見られます。
日本勢は現状維持で見通しがほぼ一致しているものの、海外勢の期待感などから発表前にいったん円高が進む可能性が結構ありそうです。
MINKABU PRESS 山岡和雅