1月分まで同様、ガソリン価格の上昇が目立ち、前年比+38.0%となって、全体を支える形となりました。エネルギーの上昇については、そろそろのピークアウトが期待されていたところに、ロシアによるウクライナ侵攻での価格高騰があり、大きな上昇傾向が続いた形です。
サプライチェーン問題も依然深刻で、自動車生産に影響が出ている関係から、中古車が前年比+41.2%と高い伸びを続けています。新車も+12.4%と大きな伸びに。
米国ではインフレターゲットの対象であるPCEデフレータの2月分も前年比+6.4%、コアデフレータが5.4%と高い伸びを示しています。ターゲット水準である+2.0%をはるかに超える水準に、米国の大幅利上げ期待が強まる格好となっています。
3月の失業率が3.6%まで低下するなど、米雇用情勢が堅調で、平均時給が前年比+5.6%の伸びとなるなど、賃金も伸びています。しかし、インフレ調整後の可処分所得を見ると、ここ7か月連続で減少。個人消費の動向を見ても、全体の数字では伸びていますが、インフレ調整をかけると消費の減退が見られるなど、家計行動に物価高が厳しい影響を与えています。
こうした状況が米FRBのタカ派姿勢につながっています。5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5%利上げは、金利先物市場動向から8割程度織り込まれる状況となっており、今後についても、FOMC毎の利上げはもちろん、複数の大幅利上げも期待される状況に。
こうした状況だけに、利上げ動向に大きな影響を与える物価情勢に対する注目度が高まっています。
3月の消費者物価指数の市場予想は前年比+8.3%とついに8%台到達が見込まれています。前月比も+1.1%まで伸びが拡大する見込み。
ロシアによるウクライナ侵攻は2月下旬で、前回の数字には一部しか反映されていません。エネルギー価格の高騰と、それに伴う輸送コストなどの上昇に伴うその他物品の価格上昇の影響が、3月分の結果により大きく反映されることを考えると、予想前後の数字は十分に見込まれるところです。
ただ、8%台という水準のインパクトは大きいだけに、米国の大幅利上げ期待を支える効果は十分にありそうです。市場予想を超える上昇を見せた場合、年内複数回の大幅利上げ期待につながり、ドル買いが加速する可能性も。
超タカ派で知られるブラード・セントルイス連銀総裁が年内3.00%-3.25%と、今年残り6回のFOMCのうち5回での0.5%利上げを期待する発言をするなど、複数回の大幅利上げへの期待を強める動きも出ているだけに、要注意です。
MINKABU PRESS 山岡和雅