欧州や米国の金融機関動向を注視しながらの展開が続いています。10日のシリコンバレーバンク(SVB)破綻に端を発した今回の動きについては、市場が次の警戒先として意識し、株価が急落したファーストリパブリックバンクについて、大手行11行が支援する姿勢を示ししたことや、米金融当局が米国内の全預金を保護することを発表したことで、懸念が一時後退しました。また、SVB破綻の余波に加え、筆頭株主出会ったサウジ・ナショナル銀行から追加支援を否定されたことで経営危機への警戒感が一気に強まったスイスの金融大手クレディ・スイスについては、スイス国立銀行(中央銀行)が主導する形で、同国の金融大手UBSによる買収で合意し、欧州での金融機関への懸念についても、一服する展開となりました。24日のロンドン市場でドル円が直近安値を更新し、2月3日以来のドル安円高となる129円64銭を付けるなど、リスク警戒の動きが継続しています。
クレディ・スイスのUBSによる買収に際して、クレディ・スイスが発行していたAT1債(AdditionalTier1債)が無価値になるという措置をとったことで、他の金融機関の発行していたAT1債に大きな売り圧力がかかり、市場の混乱が見られることなどが背景になります。AT1債は通常の債券や劣後債に比べて金利が高い一方で、今回のように自己資本が減少した際に、原本の削減や、株式に強制転換されるリスクのある債券です。クレディ・スイスの発行していたAT1債は破綻の恐れなどにより例外的な政府支援が行われた場合に無価値になる規定がありましたので、その規定に沿ったという当局の主張です。ただ、AT1債といえども債券であり、株式よりは弁済順位が上位であるはずという原則が乱れたことで、市場の混乱が生じたものと見られます。
AT1債はリーマンショックの後に制定された金融機関の健全性を確保するための国際規制「バーゼルⅢ」の下で、自己資本の基礎的な項目として認められることになったものです。その為、多くの金融機関が自己資本強化のためにAT1債を発行しています。このため、欧米を中心に金融機関への影響が懸念されている状況です。
金曜日はドイツの金融機関最大手ドイツ銀行の株価が一時15%も急落したことがリスク警戒のきっかけとなりました。フランスの金融大手ソシエテ・ジェネラルが9%安、英国の金融大手バークレイズが6%安と欧州を中心に金融機関への警戒感が続いています。
今週もこうした欧米を中心とした金融機関のニュースや株価動向、債券市場動向などをにらみながらの展開となりそうです。
そうした中、注目を集めそうなイベントが23日23時(現地時間午前10時)より上院銀行委員会で行われる公聴会です。最近の破綻と連邦規制当局の対応について開かれるこの公聴会は、翌日の下院金融サービス委員会での公聴会を含め、複数回の実施が予定されています。23日の第1回では米連邦預金保険公社(FDIC)のグルーエンバーグ会長、米連邦準備理事会(FRB)のバー副議長(金融監督担当)、米財務省のリャン国内金融担当次官の証言が予定されています。
同公聴会で当局による積極対応と、今後の混乱回避への姿勢が市場で評価されると、ドル買いの動きが期待される一方、厳しい状況が印象付けられるとドル売りが強まる可能性があります。
同公聴会に限らず、欧州、米国の金融機関関連のニュースなどには注意を払っておきたいところです。
クレディ・スイスのUBSによる買収に際して、クレディ・スイスが発行していたAT1債(AdditionalTier1債)が無価値になるという措置をとったことで、他の金融機関の発行していたAT1債に大きな売り圧力がかかり、市場の混乱が見られることなどが背景になります。AT1債は通常の債券や劣後債に比べて金利が高い一方で、今回のように自己資本が減少した際に、原本の削減や、株式に強制転換されるリスクのある債券です。クレディ・スイスの発行していたAT1債は破綻の恐れなどにより例外的な政府支援が行われた場合に無価値になる規定がありましたので、その規定に沿ったという当局の主張です。ただ、AT1債といえども債券であり、株式よりは弁済順位が上位であるはずという原則が乱れたことで、市場の混乱が生じたものと見られます。
AT1債はリーマンショックの後に制定された金融機関の健全性を確保するための国際規制「バーゼルⅢ」の下で、自己資本の基礎的な項目として認められることになったものです。その為、多くの金融機関が自己資本強化のためにAT1債を発行しています。このため、欧米を中心に金融機関への影響が懸念されている状況です。
金曜日はドイツの金融機関最大手ドイツ銀行の株価が一時15%も急落したことがリスク警戒のきっかけとなりました。フランスの金融大手ソシエテ・ジェネラルが9%安、英国の金融大手バークレイズが6%安と欧州を中心に金融機関への警戒感が続いています。
今週もこうした欧米を中心とした金融機関のニュースや株価動向、債券市場動向などをにらみながらの展開となりそうです。
そうした中、注目を集めそうなイベントが23日23時(現地時間午前10時)より上院銀行委員会で行われる公聴会です。最近の破綻と連邦規制当局の対応について開かれるこの公聴会は、翌日の下院金融サービス委員会での公聴会を含め、複数回の実施が予定されています。23日の第1回では米連邦預金保険公社(FDIC)のグルーエンバーグ会長、米連邦準備理事会(FRB)のバー副議長(金融監督担当)、米財務省のリャン国内金融担当次官の証言が予定されています。
同公聴会で当局による積極対応と、今後の混乱回避への姿勢が市場で評価されると、ドル買いの動きが期待される一方、厳しい状況が印象付けられるとドル売りが強まる可能性があります。
同公聴会に限らず、欧州、米国の金融機関関連のニュースなどには注意を払っておきたいところです。
MINKABU PRESS 山岡和雅