事前予想は非農業部門雇用者数が前月比39万人増と前回の43.1万人増から若干鈍化も、かなりの高水準。失業率は前回からさらに低下して3.5%見込みとなっています。
失業率はパンデミック前の2020年2月につけた3.5%に届くという見通し。前回までで全体の就業者数もパンデミック前と比べて約160万人減とほぼ戻ってきています。
コロナ禍で退職した高齢労働者層の就業への復帰はあまり期待できない中で、失業率がパンデミック前に追いつくという状況は、米雇用市場の力強さを感じさせます。
非農業部門雇用者数もかなりの好結果見込み。前回の内訳をみると、小売部門が4.9万人増と好調を維持。同部門や金融、専門およびビジネスサービス部門はパンデミック前の雇用数を上回ってきています。
レストランやバーといった飲食部門、ホテルなどの宿泊部門、カジノ・劇場などのエンターテインメント部門からなるレジャー&ホスピタリティ部門も好調さを維持しており11.2万人増となりました。1月から2月初めにかけて感染拡大が目立った米国での新型コロナ感染拡大がその後収まっており、感染状況の影響を受けやすい同部門は、今回も好調さを維持する見込みです。
サプライチェーン問題から2月分がマイナスとなった自動車及び同部品部門は、プラス圏を回復したものの6400人増にとどまっており、この辺りが雇用正常化に向けた最後の課題となりそうです。
前回の状況を見る限り、今回も好調さを維持してくると期待されるところ。パンデミック前の雇用を上回る部門が増えたななかで、ある程度の伸び鈍化が想定されるものの、予想程度の好結果は十分期待できそうです。
なお、物価高が進む中平均時給に模様注目です。予想は前月比が前回と同じ+0.4%、前年比が前回の5.6%から0.1%ポイント鈍化の5.5%となっています。好調な伸びが続いていますが、物価高の勢いに届いていない点が、今後の消費者マインドにどう出るのかが注目されるところです。
MINKABU PRESS 山岡和雅
今回の雇用統計で市場予想通り堅調な数字が示されると、
物価高などを受けてやや警戒感の出ている米経済に対する安心感につながります。
利上げによるドル高の流れを補強する形で、ドル円やユーロドルでのドル買いにつながると期待されます。