前日に125円台まで急伸したドル円も122円ちょうど付近まで一時下落。前日の海外市場から本日にかけてドル円は戻り売りが強まっており、過熱感を測るテクニカル指標であるRSIは86まで上昇していたが、74程度に低下している。ただ、買われ過ぎを示す70を上回っている状況に変化はない。
日銀は29日、木曜日まで連続で指し値オペの実施を通告した。31日までの3日間、利回り0.250%で国債を買い入れる。市場からは、急激に進んだ円安対策として、日銀はいずれ金利上昇を容認してくるとの見方も強まっている。しかし、日銀はきょうの連続指し値オペの通告で、大規模緩和を継続する強い姿勢を金融市場に示した。円安進行と輸入物価上昇という犠牲を払ってでも、金利抑制を優先すると日銀は宣言したとも言える。
ユーロドルはショートカバーが活発化している格好。一気に1.11ドル台まで買い戻される場面が見られた。きょうの上げで21日線を完全に突破し、リバウンド相場の流れになるか明日以降の動きが注目される。ただ、市場からは慎重な声も多く、ユーロの上値に信頼感はない。停戦合意がなされる可能性はあるものの、そのような合意は保証されたものではないという。従って、本日のユーロドルの上昇は回復の始まりとみなしてはならないと指摘。ユーロは、ウクライナ危機の経済的影響、高インフレ、FRBや英中銀と比べたECBのハト派スタンスによって圧迫され続ける可能性があるという。
ポンドドルは一時1.3160ドル付近まで買い戻された。本日の21日線が1.3170ドル付近に来ているが、目先はその水準を上抜けて行くか注目される。
ただ、ポンドに対しては弱気な見方も根強い。英中銀の利上げはFRBよりも少ないと予想されることから、ポンドドルは短期的に1.30ドル水準を割り込む可能性があるという。パウエルFRB議長や他のFOMCメンバーは0.50%の大幅利上げの必要性を説いている一方で、英中銀は短期的な追加引き締めの必要性に慎重になり始めている。このレトリックの相違は市場の金利見通しに反映されており、年末の政策金利の水準はFRBが2.12%なのに対し、英中銀は1.36%での織り込みに留まっているという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美