FRBがタカ派姿勢を緩めない限り、ドル高は続き、直近の下落は一時的と見られている。FRBのタカ派姿勢は2023年まで続き、11月FOMCでの利上げも0.75ポイントが確実視されている。
失業率は歴史的低水準にあり、インフレは依然として高い。最も楽観的なインフレ予測でも、インフレは非常にゆっくりとしか下がらず、FRBは高金利の状態をしばらく続ける可能性が高いと見られているようだ。ただ、根底にあるインフレ圧力の一部はいずれ薄れる。
ユーロドルは戻り売りに押され、0.97ドル台に下落。本日0.9770ドル付近に来ている21日線付近まで再び戻している。
市場ではECBへの見方に違いが出ている。一部からは、ECBは10月理事会で0.75%ポイントの利上げ後、12月に利上げを一時停止する可能性があるとの見方が出ている。欧州経済は12月から3月まで深刻な景気後退が予想され、ECBは利上げを一時休止し、2023年第2四半期まで利上げサイクルを再開しない可能性があるという。利上げ再開後は政策金利を3.00%まで引き上げるとしている。
一方、ECBは10月に0.75%ポイントの利上げを実施し、2023年半ばまで利上げを継続するとの見方は根強い。その後、12月も0.75%ポイント、2月に0.50%ポイント、3月、5月、6月にそれぞれ0.25%ポイントずつの追加利上げを見込んでいるという。FRBのように景気後退でもECBはインフレ抑制を優先するという。
ポンドドルは戻り売りが続き、一時1.11ドル台まで下落。この日は9月の英消費者物価指数(CPI)が発表になっていたが、総合指数は前年比10.1%と2桁の伸びを示した。英経済は生活費危機や消費者への影響が叫ばれる中、市場は生活費上昇が家計の可処分所得に与える影響を明らかに懸念している。
通常ならばこうした状況は利上げを催促することから、ポンドの支援材料となるはずだが、トラス政権の財政政策が劇的に転換された現状を踏まえると、英利上げペースは不透明。英インフレはなお上昇を続けていることから、次の利上げは1.00%ポイントになるとの見方が優勢。しかし、市場のプライシングはそれほど明確にはなっておらず、11月3日の英中銀金融政策委員会(MPC)での利上げ確率は、0.75%ポイントが44%以下、1.00%ポイントが56%となっている。
トラス英首相が、ブレーバーマン英内相を国家安全保障巡る違反で解任した。内相は、国家安全保障上の違反とされる、個人の携帯電話で秘密文書を共有していたという。この動きはトラス首相にさらなるプレッシャーを与えることは必至だとしている。与党保守党内は首相の後任人事の検討で迷走中との報道も流れていた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美