FRBによる積極引き締めへの警戒感は根強い。今週はパウエルFRB議長がIMF主催のパネルに参加するが、そこで0.50%の大幅利上げへの可能性を強調すると見られている。FOMCメンバーは来週から、5月3-4日のFOMCを前に、各自が発言を控えるブラックアウト期間に入る。今週のIMFのイベントはその前の最後の発言の機会となる。議長はすでに大幅利上げの可能性に言及しており、市場も織り込んでいるが、その内容は注目される。
米大手銀から、FRBの引き締めは景気後退の可能性を高めるとの指摘が出ている。現在の力強い米経済のモメンタムが短期的なリスクを相殺しているにもかかわらず、引き締めは米景気後退を引き起こす確率を高めるという。今後1年間の景気後退の確率を約15%、今後2年間では35%と見ているようだ。
ただし、企業のバランスシートの強さは、仮に景気後退が起こったとしても、より穏やかなものになることを示唆しているとも指摘。労働市場が悪化したとしても、それが悪循環に陥る可能性が低いからだとしている。
ユーロドルは下向きの流れが続いており、再び1.07ドル台に値を落としている。先週はECB理事会を受けて一時1.0760ドル付近まで下落していた。1.07ドル台に入ると押し目買いも見られ、1.08ドル台に戻す場面も見られていたが、戻り待ちの売り圧力も強く、維持できていない。
ECBは先週の理事会で7-9月期(第3四半期)での資産購入終了に再言及した。これを巡って様々な意見が出ている。7月に終了との見方や、9月に終了し、直ぐに大幅利上げとの主張も出ている模様。ラガルド総裁は会見で、利上げは資産購入終了後に早ければ1週間後に実施する可能性に言及していた。7月利上げ説もまだ残っている状況。なお、8月は理事会は予定されていない。先週のECB理事会後よりはタカ派な雰囲気が漂っているものの、市場にはユーロを買い戻そうという機運はないようだ。いずれにしても、FRBとの金融格差は拡大の方向と見ているものと思われる。
ポンドドルも上値が重く、1.30ドル割れを試す展開が続いている。いまのところ1.30ドルの水準は強いサポートとして意識されているようだが、英中銀が慎重姿勢を見せる中でポンドの上値は重そうだ。
ポンド自体の材料は少なく、FRBやウクライナ情勢に左右される展開となっているが、今週は22日金曜日に英小売売上高と4月の英PMI速報値の発表が予定されている。英小売売上高は販売量べースの統計だが、物価高騰で英消費者の生活費高騰が問題化する中で消費量の落ち込みが予想されており、2カ月連続で前月比減少が見込まれている。英PMI速報値もサービス業中心に低下が予想されている状況。先週発表の英消費者物価指数(CPI)は総合指数で前年比7.0%まで高インフレが進んでいる。4月にはエネルギー価格が50%超高騰していることもあり、前年比9.0%まで上昇するとの見通しも出ている状況。ただ、英中銀は5月の利上げで、しばらく利上げを見送るとの見方も出ており、今週の数字はそれを裏付ける可能性もありそうだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美