きょうの市場はリスク回避の雰囲気が強まった。そのような中でドル円に見切り売りが強まり、一時126.35円付近まで下落する場面が見られた。強いサポートとなっていた127円ちょうどの水準をブレイクし、ストップを巻き込んだ模様。今後、心理的節目の125円を視野に入れる動きになるか警戒される。
底打ちも期待されていた米株式市場が前日の大幅高から、翌日に下げの反応を見せたことは失望感が大きかったようだ。ただ、為替市場はこれまでのリスク回避のドル買いの動きは見られず、逆にドル売りが強まった。景気後退が広く意識されるようであれば、FRBの利上げ期待も後退する可能性を見ているのかもしれない。前日は一部のFOMCメンバーから9月で利上げを一旦停止し、様子を見るのも選択肢の1つとの発言が出ていた。ただ、市場はいまのところFRBの政策スタンスに変化はないと見ているようだ。明日はFOMC議事録が公表される。
ユーロは買い戻しが加速し、ユーロドルは1.07ドル台半ばまで急速に買い戻された。きょうの上げで完全に21日線を上放れる展開が見られており、本格的なリバウンド相場に発展するか注目される。
市場の一部からは、ウクライナ情勢が大きく悪化しなければ、しばらくの間、ECBの利上げ見通しからユーロは恩恵を受けるとの見方も出ている。ECBが7月に利上げを開始し、9月にも利上げを行う可能性を示唆したことは、ユーロにとってプラスになるという。ECBが2023年5月までに中銀預金金利を現在のマイナス0.50%から1.25%まで引き上げると予想しているようで、それはつまり、7月から2023年5月までの間に、0.25%ポイントずつであれば、毎回利上げを行うことを示す。
ECB理事のカザークス・ラトビア中銀総裁の発言に敏感に反応した面もありそうだ。同総裁は「0.50%ポイントの大幅利上げ排除すべきでない」と述べた。ラガルド総裁は0.25%ずつの緩やかな利上げが好ましいことを示唆しているが、ECB理事の中からはタカ派な主張も出ている模様。
ポンドドルは逆に売りが強まり1.25ドルを割り込む場面も見られた。ロンドン時間に発表になっていた5月の英PMIを受けてポンドは戻り売りが強まっている。この日の英PMIは特にサービス業の弱さが目立っていたが、生活費危機の中で家計の実質所得が減少し、消費需要が弱まっていることを示唆した格好となった。また、英PMIから除外されている小売売上高と公共部門の活動がともに減少傾向にあることもあり、第2四半期の英GPDは前期比0.5%のマイナス成長になるとの予測も出ている。
市場は英中銀の追加利上げへの期待をなお温存させているが、あと0.25%ポイントの利上げを1回だけ実施して、ひとまず利上げを停止するとの見方も出ている。追加利上げは6月よりも8月の可能性が高いという。
英製造業PMI・速報値(5月)17:30
結果 54.6
予想 55.1 前回 55.8
英非製造業PMI・速報値(5月)17:30
結果 51.8
予想 57.2 前回 58.9
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美