きょうのドル円は上値追いの動きを強め、147円をうかがう水準まで上げ幅を拡大させた。前回の介入ラインを突破してきており、介入警戒感は根強いものの、着実に150円への流れは続いているようだ。
この日発表の米生産者物価指数(PPI)が予想を上回ったことや、ワシントンで開催された国際金融協会(IIF)の会合に黒田日銀総裁が出席しており、「物価安定目標達成するまで金融緩和を継続」と述べたこともドル円の買いをサポートした模様。ただ、介入警戒感もあり、明日の米消費者物価指数(CPI)の発表を控えて、慎重な動きではあった。
ユーロドルは方向感のない展開。0.96ドル台に値を落とす動きが見られているものの、下値押す気配もなく、0.97ドルちょうど付近での推移を続けている状況。
きょうはラガルドECB総裁の講演が伝わっていたが、特にユーロの反応はない。市場からはいまのところ、エネルギー価格上昇に対処するための方策に関するEU加盟国間の協議のほうがECBからのレトリックよりもユーロに影響を与えるとの指摘も出ている。ただ、EU加盟国は対策の設計にまだ合意できない。優柔不断さが長引くことはユーロにとって良いニュースではなく、今週のユーロドルは9月安値の0.9540ドルまでの下落リスクがあるという。
ポンドは買い戻しが優勢となり、ポンドドルは1.10ドル台後半に戻している。前日はベイリー英中銀総裁の発言を受け、NY時間の終盤にポンドは急速に下落していたが、きょうは下げが一服している。しかし、英中銀はこの日、ベイリー総裁が言及したように、今週14日で緊急債券購入プログラムを終了することを宣言した。
一方、英中銀は差し入れられる担保要件を拡大したオペを11月10日まで継続すると発表。資産運用から得られるキャッシュフローと支払いを近づけようとする戦略を取っているファンドを保有している確定給付型年金基金からの、マージンコール(追加担保の拠出要求)に伴う現金需要に対応できるようにするための措置。
ただ、ポンドは買い戻されてはいるものの、英国債の売りは加速しており、英30年債利回りは一時5%まで上昇している。市場の不安は解消されていないようだ。一部報道で、市場が必要とする場合は、英中銀は現在の債券購入プログラムを延長する用意があるとも伝わっていたが、英中銀はその報道を完全に否定。きょうのポンドは下げ一服となっているものの、下押し圧力は強いと見ている向きは依然として多いようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美