目先は明日の米雇用統計が注目。非農業部門雇用者数(NFP)は49万人増、失業率は3.7%までの低下が見込まれているが、数字次第では、短期的に成長へのリスクは低いとの確信をFRBに与え、積極利上げへの援護射撃になるとの声も聞かれる。労働市場のひっ迫感がさらに明確になれば、中立金利に向けて迅速な利上げが必要との認識をFRBに与えるという。FRBは次回5月のFOMCで0.50%の大幅利上げを行う可能性が高いと見ているようだ。
ユーロドルは戻り売りが強まり、1.10ドル台に下落。ウクライナ情勢は依然として混沌としており、ユーロを圧迫している。ウクライナの交渉担当者は、ロシアとの停戦協議を明日ビデオ会議で再開と述べていたが、ロシア側からは確認がとれていない状況。また、ロシアのプーチン大統領が既存の天然ガス契約について、買い手がルーブルでの支払い条件に従わないのであれば契約を停止すると発表したこともユーロを圧迫した。
ユーロドルは3月に入ってリバウンドの動きが見られ、今週は買い戻しが加速していた。しかし、ウクライナ危機への不安を背景にECBが慎重姿勢を崩さない限り、ユーロの戻りは限定的との見方も少なくない。ウクライナ情勢によるエネルギー危機のリスクや相当程度の経済的打撃がなくなるまでは、ECBはインフレ対策に明確にコミットすることを躊躇するという。その結果、持続的なユーロ高が実現するのはもう少し先になるとしている。
ポンドドルは一時1.31ドル台後半に強含む場面が見られたが、基本的には1.31ドル台での狭い範囲での値動きが続いた。21日線付近での推移。
きょうは第4四半期の英GDP確報値が発表された。その中で英消費者が支出を続けるために貯蓄率を下げていることが示されていた。貯蓄率は第3四半期の7.5%から第4四半期には6.8%に低下している。この低下は、生活費高騰の中で、消費者が実質所得の減少を相殺するために貯蓄を使っていることを示しており、成長にとっては良い兆候との見解も出ている。また、今年の英GDPは鈍化が予想されるものの、恐らく景気後退は避けられる可能性があるとの楽観的な見方も出ていた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美