議長は、必要なら毎会合で0.25%を上回る利上げを実施する意向を示し、必要に応じて中立金利を上回る引き締めに動く可能性も示唆した。先週のタカ派なFOMCを追認する内容となった。この講演を受け、米国債利回りの上昇とともにドル円は、119円台前半から半ばに上昇した。
ユーロドルは戻り売りが優勢となり、1.10ドル台前半に下落。先週はリスク回避の雰囲気が一服する中で1.11ドル台まで買い戻しが強まっていた。21日線も回復していたが、FRBが先週のFOMCでタカ派姿勢を強調する中で、ユーロドルは21日線を超えると上値も重くなるようだ。本日の21日線は1.1080ドル付近に来ているが、その水準を下回って推移している。
ECBは先日の理事会で想定以上にタカ派な姿勢を強調し、市場では年内2回の利上げを織り込む動きも出ている。ただ、一部からは、ECBの次の行動を判断するにはなお不透明要因が多過ぎるという。結論はやはりデータ次第であり、現段階でECBが取り得る行動は多岐に渡るとしている。7月の利上げは可能性がないわけではないが、その確率は取るに足らないレベルとし、基本シナリオは12月の利上げだという。しかし、リスクはそれ以前の利上げに偏っているとも指摘している。
ポンドドルは買い戻しが膨らみ、1.32ドル台を回復。先週は英中銀金融政策委員会(MPC)を受けて売りが強まった。予想外に英中銀が慎重姿勢を打ち出し、市場の利上げ期待も後退している。MPC後にポンドドルは1.30ドル台まで下落したが、その後は買戻しも入り、MPC後の下げをほぼ取り戻している。
今週はスナク英財務相が春季の予算案を発表し、何らかの新たな支援策を発表する可能性がある。しかし、基本的に財政の蛇口を劇的に緩める可能性は低く、それはポンド買いを支援することはないとの見方も出ている。同財務相は、家庭向けエネルギー支援、NATO支出の増加、機会向上を目的とした政府計画への追加投資発表が期待されている。しかし、これらの支出は脆弱な成長とインフレ上昇の中では抑制的な内容となる可能性が高いという。そのため、成長への道筋を支援することはなく、英中銀のより慎重な金利アプローチへの期待を支援することから、持続的なポンド高への青信号となることはないという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美