ただ、このところの急上昇で過熱感は否めず、過熱感を測るテクニカル指標であるRSIは買われ過ぎの水準である70を遥かに上回り、83まで上昇。2016年11月以来の高水準となっている。テクニカル的にはいつ売られてもおかしくはない状況ではある。
前日のパウエルFRB議長の講演は、先週のFOMCからさらにタカ派色を強めた印象が強く、年内に0.5%の大幅利上げが複数回実施されるとの見方も出始めている。FRBがインフレ抑制に傾斜する一方、日銀は緩和姿勢の継続を続けており、金融政策の格差拡大観測が引き続き、ドル円を押し上げている。
ユーロドルは戻り売りに押され、1.09ドル台に一時下落。本日の21日線が1.1050ドル付近に来ているが、その水準が上値抵抗となっている模様で、上値の重い展開となっている。
市場からは下値も抑制的との見方も出ている。FRBが想定以上にタカ派姿勢を強調する中、市場ではECBも予想を上回る利上げを行うのではとの観測が広がっている。ウクライナ危機をめぐる不確実性にもかかわらず、先日の理事会でECBは、刺激策の解除を加速させていた。そのことから、今後12カ月間で3回程度の利上げを見込んでいるという。米国債利回りが上昇する環境下でも、ECBへの期待が今後数カ月、ユーロを下支えする可能性があると指摘している。
ポンドドルは一時1.3175ドル付近まで下落していたものの、NY時間に入って1.32ドル台に戻す展開。きょうはスナク英財務相が春の予算案を発表。インフレ、ウクライナ危機で悪化した生活水準への支援策が与野党から求められていたが、その要請に応じて、年金、雇用保険などを含む国民保険の支払い基準緩和や、燃料税の軽減、助成金の増額、雇用手当引き上げ、そして、所得税減税も発表していた。
ただ、市場からは効果を疑問視する声も多く出ている。特に所得税減税については、2024年に20%から19%へ引き下げるとしている。減税幅が小幅であるほか、導入までに2年あることから、当面の支援策にはならないと見られている。予算案の発表後、ポンドドルは1.3175ドル付近まで下落する場面が見られていた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美