ドル円は上げを一服させる気配が一向に見られないが、本邦勢の年度末に絡んだ買いも活発に入っていそうだ。FRBのタカ派姿勢により、米金利は更なる上昇が予想され、ウクライナ情勢などで、日本の主要輸入品である原油や穀物価格の上昇も想定される中、本邦勢からすれば、ドルを十分に確保しておきたいとのインセンティブが働いてもおかしくはない状況。
ただ、さすがに過熱感は否めず、テクニカル的にはいつ売りが入ってもおかしくはない状況であることに変化はない。
ユーロドルはNY時間に入って買戻しも見られ、1.10ドルちょうど付近まで戻す動き。ただ、ユーロドルは上値の重い展開が続いており、21日線を下回る水準での取引が続いている。ユーロドルに対して市場からは、依然としてネガティブな見方が多い。
エネルギー価格上昇がユーロ圏経済にもたらすリスクを指摘しており、特に欧州はロシアの天然ガスに大きく依存していることから、ユーロはさらに下落する可能性が高いという。ロシアに対する新たな制裁措置のたびに、エネルギー価格ショックのリスクが高まり、EU経済、ひいてはユーロに大きな打撃を与えると指摘している。
目先は本日1.1035ドル付近に来ている21日線を突破して行くか、それとも、ここ数日サポートされている1.0965ドル水準を下抜けるか注目される。
ポンドドルは何度か1.32ドル台に上昇するものの、水準を維持できていない。本日1.3210ドル付近に来ている21日線が強い上値抵抗となっている模様。21日線は下げトレンドのまま推移しており、ポンドドルは買い戻しが見られているものの、流れはなお下向きの状況に変化はないようだ。
市場からは、英成長は下期に打撃を受ける可能性が高いとの指摘も出ている。生活費の高騰から打撃を受け、今年後半には大きく減速する可能性が高いとし、それに伴って英中銀は引き締めサイクルの減速を余儀なくされるという。英家計は1950年代に記録が始まって以来、最大の可処分所得の減少に直面する一方、個人消費の落ち込みを防ぐほど貯蓄率が急激に低下することもないという。下期には成長が止まると予想しており、その時には英中銀の利上げペースも鈍化すると述べた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美