先週は一時125円台まで急伸したものの、週後半にかけて戻り売りに押された。過熱気味だったドル高・円安も、日本の年度末を過ぎて一旦落ち着いた雰囲気も強い。ただ、上値期待は依然として根強い印象。
安全資産であるドルは先週、約1カ月ぶりの安値をつけたが、その後は買戻されている。ウクライナとロシアの停戦交渉が何らかの形で解決されるとの期待が徐々に薄れており、ドルはさらに上昇する可能性が高いとの指摘も聞かれる。交渉に大きな進展がないまま戦闘は続いており、ドルはリスク回避の地合いを回復している。ウクライナ危機の打開策への期待によるドル安の試みは、次第に色あせてきているという。
ユーロドルは一本調子の下げを演じており、1.09ドル台に下落。一時1.0960ドル台に下落している。ウクライナのブチャで民間人の遺体が多数見つかったことを受けEUのミシェル大統領は、ロシアに対する追加制裁を実施する構えを示した。ドイツのショルツ首相もEU諸国と共に数日中に措置をとると発言。
市場からは、EUがロシアに対して追加制裁を課した場合、ユーロドルは下落する可能性があるとの声も聞かれる。制裁が強化されれば、ロシアもより強い制裁で対抗する可能性があることから、欧州でエネルギー障害が発生するリスクが高まるという。米国はエネルギーをほぼ自給できるため、このようなリスクにはさらされていない。そのため、ユーロドルは上値を確立するのに苦労し、再び下値模索のリスクに直面しているという。
EUは段階的に制裁を課しているが、ロシア産ガスの輸入差し止めまでは踏み込んでいない。EUは天然ガスの輸入の4割をロシアに依存。輸入額は1日当たり、最大8億ユーロに相当する。特にドイツやイタリア、東欧は依存度が高い。
ポンドドルはドル買い・ポンド買いに挟まれ、1.31ドル台前半での狭い範囲での上下動が続いている。本日の21日線は1.3130ドル付近に来ているが、その下での推移が続いており、下向きの流れは継続してい印象。
一部からは、英経済はパンデミック関連の政府支出が減少し、家計の実質可処分所得も大幅に減少するため、4-6月期(第2四半期)の英GDPはマイナス成長の可能性が指摘されている。前期比0.3%の減少が予想されるという。ただ、設備投資の回復により、年後半には再びプラス成長に転じ、景気後退まではまだないという。一方、英中銀は5月に政策金利を1.00%に引き上げたあとは、引き締めサイクルを一旦停止する可能性があるとも指摘している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美