FRBの積極利上げによるリセッション(景気後退)リスクが高まっていることが背景に挙げられる。ただ、歴史的な高インフレから、FRBが積極利上げの計画を断念するハードルは高いとの声も聞かれる。利上げを中断するためには、消費者需要の鈍化と労働市場の過熱感解消を示す説得力のある証拠が必要だという。過去1週間で市場は、利上げ期待を0.10%ポイントほど下方修正したが、FRBのレトリックは依然として非常にタカ派的で、利上げ期待は再び回復すると予想しているようだ。政策金利のピークは2023年半ばに3.25-3.50%と想定している模様。
ユーロドルは伸び悩む動きが見られているが、1.07ドル台は堅持しており、リバウンド相場の展開には影響はない。ここに来て市場はECBの利上げ期待を高めており、7月の利上げ開始を確実視している。ただ、利上げ幅については見方が完全に分かれているようだ。ラガルド総裁は7月、9月に0.25%ずつの利上げが好ましいとの見解を示唆していたが、タカ派なECB理事からは0.50%を主張する声も出ている。市場の見方も同様に意見が分かれている状況。
これについては再来週の6月9日に予定されているECB理事会まで意見が分かれたままで推移する可能性もありそうだ。また一部からは、ECBが7月に0.50%ポイントの利上げを実施した場合、市場は年内にもう0.50%ポイントの追加利上げを期待する可能性があるとの声も出ている。
ポンドドルは伸び悩んでいるものの、リバウンド相場の流れは継続しており、本日は1.26台半ばまで一時上昇する場面が見られた。
スナク英財務相がきのう、石油・ガス会社の利益に25%の超過利潤税を課して約50億ポンドを調達し、国内の貧困層800万世帯余りに650ポンドを一回限り支給する法案を発表した。市場からは、この財政刺激策でポンドは上昇する可能性があるとの声も出ていたが、これまでの反応を見た限りではその雰囲気は高まっていない。
この動きを見て市場からは、前日の英財政刺激策はポンドを限定的にしか押し上げず、ポンド高の支援には不十分な可能性を示唆しているとの声も出ている。ポンドはただ下げないためだけにこの財政支援を必要としているようだとも表現した。エネルギー企業への課税により、逆に投資への逆風が懸念され、ポンドの上値を抑える可能性があるとの見解も示した。ただ、財政的支援により景気が下支えされ、英中銀がより積極的な引き締めに踏み切る可能性はあるとも分析している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美