円相場は株価にらみの展開となっている中で本日の米株式市場でダウ平均は一時700ドル超上昇し、ドル円の下値をサポートしている。本日はバイデン大統領がトランプ前大統領時に導入した中国製品への関税引き下げを検討すると述べたことや、インフレの最大要因の1つとなっている原油価格に関連して、OPECに増産を求める声を強めたこともドル円の下値をサポートしたようだ。127円台後半に上昇している。
基本的にはドルと円が同方向の動きとなっていることからドル円は動きづらい面があるが、ロングポジションがだいぶ積み上がっていることもあり、上値では利益確定売りが出易い状況にはある。130円の上を再び目指すとの声は多いものの、その前に125円までの調整も有り得るとの見方も少なくないようだ。
今週は5月分のFOMC議事録が発表されている。市場は6月、7月もFRBは0.50%の大幅利上げを実施するとの見方で固めている。しかし、すでにそれは織り込み済みで、市場はFRBがどの程度積極的に利上げを実したいのか再度確認したい意向が強い。
ユーロドルは本日高値圏での推移がとなっており、1.0690ドル付近で推移している。きょうの上げで21日線を完全に上放れる動きが出ており、本格的なリバウンド相場になるか明日以降の動きが注目される。
きょうの上げはECBのブログに投稿されたラガルドECB総裁の発言が買い手掛かりとなっている。総裁は「資産購入プログラム(APP)での純購入は7-9月(第3四半期)の非常に早い段階で終わると考えている。これにより、フォワードガイダンスに沿って7月の理事会で金利を引き上げることが可能になる。現在の見通しに基づくと、7ー9月期末までにマイナス金利を脱却できる可能性が高い」と述べた。7月と9月の理事会で0.25%ずつ金利を引き上げ、現在マイナス0.50%の中銀預金金利をゼロまで戻す計画を示唆した格好。
しかし、タカ派なECB理事の間からは総裁の計画に不満も出ているようだ。0.25%ずつの2回の利上げは、より迅速な利上げの選択肢を残しておきたい理事を苛立たせているとの報道も伝わっていた。今回の総裁のブログ投稿は0.50%ポイントの大幅引き上げを事実上排除する内容であり、タカ派的な理事はそれを不快に思っているという。
ポンドドルは1.26ドルちょうど付近まで一時買い戻されている。ドル買いの動きが一服しているほか、ユーロドルの買い戻しが強まっており、ポンドドルも連れ高となっている模様。きょうの上げで21日線を上放れる動きが出ており、本格的なリバウンド相場になるか明日以降の動きが注目される。
ただ、ポンドの上値への警戒感も根強い。今回の買い戻しのトレンドはEUとの貿易交渉への懸念と英中銀の利上げへの慎重姿勢で間もなく打ち消されるかもしれないとの声も出ている。市場は現在、英中銀の年末時点での利上げ予想を2.20%で織り込んでいるが、それがハト派な方向に見直される可能性とEUとの貿易交渉の懸念再燃の両方からポンドには下振れリスクが残っているという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美