早期に127円台を回復できるか注目されたが、きょうの動きを見た限りではなお上値期待を残しているようだ。きょうは午後にFOMC議事録の発表が予定されており、FRBの積極利上げが再確認されるとの見方がドルを買い戻させているのかもしれない。
短期的にドル高の勢いは弱まる可能性があるが、下落に転じることはないとの指摘も出ている。FRBが他の中央銀行よりも積極的に引き締めを続けることが想定されることから、ドルが下げトレンドに転じることはないという。ただ、今後はECBを始め、他の中銀もインフレ問題に本格的に取り組む可能性もあり、これまでのようなドル高の勢いは減速して行くとも付け加えた。
ユーロドルは戻り売りに押されており、1.06ドル台に再び下落。ユーロドルは5月中旬以降、リバウンド相場の兆候が見られているが、本日は午後のFOMC議事録を前にその動きも一服といったところのようだ。
市場からは、ECBが利上げ方針を撤回するためのハードルは非常に高いとの見方が出ている。今週はラガルドECB総裁がブログで「第3四半期末までにマイナス金利を脱する」と述べ、7月と9月に利上げを実施する可能性を示唆し、市場を驚かせている。利上げのスピードについてはECB理事内でも意見が分かれているようだが、たとえ経済指標が悪化しても、ECBが利上げ方針を撤回するためのハードルは非常に高いと指摘している。
利上げ方針を撤回するには経済指標の悪化が必要だが、その可能性は低く、経済指標は軟化する可能性はあるものの、インフレに重点を置き始めたECBを阻止するほどの弱くはならないという。また、ECBが2023年末までに計1.75%ポイントの利上げを行うとの見方を維持するとも付け加えた。
ポンドドルは前日に引き続き、ロンドン時間に一時1.24ドル台に下落していたが、NY時間にかけて買い戻しが膨み、1.25ドル台半ばまで戻している。前日は弱い4月の英PMIを受けて英景気の先行き不安感からポンドは売りが強まっていた。
第2四半期の英GPDはマイナス成長との見方も出る中で、市場は英中銀の追加利上げへの期待をなお温存させてはいるものの、あと0.25%ポイントの利上げを1回だけ実施して、ひとまず利上げを停止するのではとの見方も出ている。追加利上げは6月よりも8月の可能性が高いという。この日は英中銀のチーフエコノミストのピル委員の発言が伝わっていたが、英中銀は高インフレと戦うために追加の引き締めを実施する必要があるが、あまりにも早く行動して英国を景気後退に追い込む危険性もあると警戒していた。
この日は感染防止のため規制されていたパーティーが英首相官邸で繰り返されていた問題で、内部調査の報告書全文が公表された。ジョンソン首相は再度謝罪したうえで、辞任の可能性は排除している。政権内部からも退陣論が再燃しそうな気配もあるが、この件についての市場の関心は薄く、ポンドへの影響も限定的となっている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美