FRBによる積極引き締めへの警戒感は根強い。今週はパウエルFRB議長がIMF主催のパネルに参加するが、そこで0.50%の大幅利上げへの可能性を強調すると見られている。
FRBは失業率を大幅に上昇させることなく、インフレを大幅に低下させるという、これまで達成できなかったことに着手している。旺盛な需要を減速させるような適切な利上げを行えば、それが可能であるとFRBは考えているようだが、イエレン米財務長官でさえも、失敗のリスクはあると見ているようだ。FRBの前議長だったイエレン長官は先週、ワシントンで行ったパブリックコメントで、「技術も必要だが、幸運も必要だ」と述べていた。確かに過去80年間、FRBは景気後退を引き起こすことなく、インフレを4%ポイントも引き下げたことはない。
FRBが経済を安全に軟着陸させるためには、労働市場が鍵になる。現在、失業率は3.6%と異常に低く、労働者に対する需要はひっ迫している。企業は何百万人分もの求人広告を掲載しているが、FRB幹部はこのような人材への需要を抑制し、雇用主が既存の労働者を解雇することなく、景気後退なしにインフレを抑制することができると言っている。不況にならずにインフレを抑える、いわゆるソフトランディングだが、パウエル議長は先月、「現在の状況下でソフトランディングが簡単には実現するとは誰も思っていない。FRBは困難な課題に直面している」とも述べていた。
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MINKABU PRESS編集部 野沢卓美