世界的な景気後退への懸念の1つに中国のロックダウン拡大と景気減速への警戒感があるが、中国政府が、インフラ建設を強化する方針を明らかにしたこともネガティブな雰囲気を一服させている。中国政府は複数分野でのプロジェクト強化および促進を決定。空港などの輸送ハブ、エネルギーや水資源のプロジェクトなどが含まれる。
日銀が明日、金融政策決定会合の結果を発表する。大きな政策変更はなく、現行の金融緩和を維持すると見られている。20年ぶりの水準まで円安が進む中、黒田総裁の発言に注目が集まっているが、総裁は先週のニューヨークでの講演で、金融緩和継続の必要性を強調。食品を除くコア消費者物価(CPI)は2%程度に上昇する可能性があるものの、エネルギー中心のコストプッシュが主因で持続力を欠くものだとの見解を改めて示していた。
ユーロドルは売りが加速し、一時1.05ドル台前半まで下落。2017年3月以来の安値水準で、大きな心理的節目として意識される1.05ドルをうかがう展開を見せている。きょうは一服しているものの、景気後退への懸念は根強く、ウクライナ情勢が混沌とする中で、ユーロドルは売りが続いている状況。
ロシアのエネルギー大手ガスプロムが、ポーランドとブルガリアがルーブルでの支払いを拒否したため、同国へのガス輸出を停止したと発表した。これを受けてユーロは下げを拡大する可能性があるとの指摘も出ている。欧州へのガス供給停止が拡大すれば、ガス価格はさらに上昇し、欧州経済のセンチメントに大きな影響を及ぼし、ユーロにとってよりネガティブな結果をもたらすという。
数週間前までは、ユーロドルがパリティ(1.00ドル)に達する、あるいはパリティをブレイクする可能性があるという話は現実味がないと思われていたが、そうしたシナリオも頭の片隅に留意する段階に来ているという。
ポンドドルは下値模索が続き5日続落。心理的節目の1.25ドルちょうど付近まで下落する場面も見られ、2020年7月以来の安値水準まで下落した。
きょうは英国産業連盟(CBI)が4月の小売販売の景況感指数を発表していたが、3月の+9から-35に急速に低下し、予想(-5)も大きく下回った。この数字を受けて、家計の実質所得に対する圧力の高まりが、家計支出にますます重くのしかかって来ているとの評価が一部から出ていた。「家計の実質可処分所得への圧迫が強まり、消費者は財布の紐を締めているようだ。今後の見通しとしては、英小売売上高は年内に減少に転じることが予想される」という。家計の実質所得は第2四半期に前期比約2%減少し、年全体では前年比約2.5%減少する可能性があるとも指摘した。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美