きょうのNY為替市場はドル買いが再び強まり、ドル円は一時128.60円付近まで上昇。前日は、このところのドル買いおよび米国債利回り上昇に一服感が出て、ドル円も127円台まで下落していたが、きょうは米国債利回りが再び急上昇しており、ドル円も買い戻しを強めた格好。
デーリー・サンフランシスコ連銀総裁の発言が伝わっていたが、複数のFOMCで0.50%利上げを決定する可能性が高いとの認識を示していた。短期金融市場では7月までに3回の大幅利上げを100%織り込む動きが出ている。市場はFRBの引き締めへの積極姿勢を再認識した格好となり、ドル円をサポートしたようだ。
ユーロドルはロンドン時間の序盤に1.0935ドル付近まで買い戻されていたものの、NY時間にかけて伸び悩む展開となり、1.0835ドル付近まで値を落としている。本日の21日線は1.0920ドル付近に来ているが、きょうはその水準を上回る場面が見られたものの、結局、押し戻されている。ユーロドルはリバウンドの兆候が出ているが、きょうの動きを見た限りにおいては、上値はなお重い印象。
ウクライナ危機が短期的にユーロの足かせとなる可能性があるが、ユーロドルは緩やかに上昇して年を越すとの見方も出ている。ユーロ圏経済はロシアのエネルギー供給に依存していることから、米国よりもウクライナ危機からの逆風に直面している。しかし、FRBの急速な引き締めが来年に米経済をリセッションに追い込むリスクがあるという。一方、ECBは早ければ7月にも利上げを行う可能性があることを示唆しており、夏以降、ユーロドルは1.10ドル水準まで買い戻される展開が期待されるとしている。
ポンドドルも上値の重い展開に変化はなく、1.30ドル台で上下動している状況。一方、英国債利回りが急上昇し、2年債が2009年以来の水準に上昇し、10年債は2015年以来の2%を突破した。本日のマン英中銀委員の発言に敏感に反応したようだ。同委員は「来月の英中銀金融政策委員会(MPC)で0.25%超の利上げが必要かどうかを検討している」と述べ、引き締めペースを早める議論を再燃させている。同委員は2月のMPCで0.50%の大幅利上げを主張していた。市場はこの発言を受けて、8月までに少なくとも1回の大幅利上げの可能性を織り込む動きが出ている。ただ、ポンドの反応は限定的だった。
また、ベイリー英中銀総裁の講演も伝わっていたが、インフレと成長の間で難しい判断を迫られており、フォワードガイダンスの提供に神経質になっていることを明かしていた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美