本日は4月の米雇用統計が発表になっていた。労働市場のひっ迫と賃金高止まりを示し、インフレ圧力の根源になっていることを示している。4月の非農業部門雇用者数(NFP)は42.8万人増加し予想を上回った。一方、失業率は3.6%に留まり、平均時給は前月比0.3%上昇。労働参加率は低下していた。
パウエルFRB議長は今週のFOMC後の会見で「持続不可能なペースでの賃金上昇に懸念」と述べていたが、本日の米雇用統計はFRBの積極利上げ姿勢を正当化する内容となっている。ただ、きょうの為替市場の反応は限定的。
ただ、ドル高への期待は根強い。ドルは4月ほどの力強い上昇を繰り返す可能性は低いが、今年の残りの期間も緩やかに上昇するとの見方が出ている。当面、FRBの利上げサイクルと名目利回りの上昇に支えられるという。一方、市場による米金利水準の修正は一巡したが、他の大半の主要国の金利予想は若干行き過ぎだとも指摘した。
ユーロドルは買い戻しの動きが見られ、1.05ドル台後半まで一時上昇している。特段の材料はないが、今週のFOMCを経て、ドルのポジション調整が一段落して来ているのかもしれない。加えてユーロの場合、ECBの早期利上げ期待が浮上している。これまでハト派よりだったECB理事のホルツマン・オーストリア中銀総裁やレーン・フィンランド中銀総裁による前日の発言もその観測を強める要因となっている可能性もありそうだ。ホルツマン総裁は6月利上げの可能性にも言及していた。ただ、短期金融市場ではすでに、ECBが年内に合計で0.75%-1.00%の利上げを実施することを織り込んでおり、ECB幹部からのタカ派な発言がユーロドルを大きく支援することはないとの意見も出ている。
FRBとECBの金融政策格差から、ユーロドルは依然として、2016年の安値1.0350ドル水準に意識が偏っているという。
ポンドドルは一時1.23ドル台半ばまで戻した。前日の英中銀金融政策委員会(MPC)を受けてポンドドルは売りが強まり、本日のロンドン時間には1.2275ドル近辺まで下落する場面が見られていた。
前日の英MPCを受けて、ポンドはさらに弱含む可能性も警戒されている。英中銀は前日のMPCで、市場の利上げ期待は過剰との、これまでで最も明確なシグナルを発したと指摘。来年のGDPは0.25%のマイナス成長というかなり厳しい見通しを示し、引き締めを継続する余地が急速に狭まっているこという強いシグナルを発したとしている。株急落や金融引き締めによるリスク回避はポンドにとって好ましい背景ではなく、1.20ドルに向かって下落の可能性が高いという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美