市場はFRBが0.75%ポイントの利上げを行うと予想。ただ、一部からは1.00%ポイントの利上げを見込む声も出ており、確率を15%程度と見積もっている。ちなみに0.50%ポイントは完全にゼロ。FRBはFOMC当日にサプライズは起こさないというスタンスを持っているとも言われていることから、0.75%ポイントの可能性が高そうだが、大幅利上げのリスクも捨て切れないようだ。
ただ、市場は0.75%ポイントの利上げを既に織り込んでおり、その場合、注目はパウエルFRB議長の会見やFOMC委員の金利見通し(ドット・プロット)となる。先日の米消費者物価指数(CPI)の発表から、タカ派な内容が警戒されているが、FRBがどの程度タカ派色を強めているのか見極めたい雰囲気も出ている。市場の一部では、今回の利上げサイクルのターミナルレート(最終着地点)を4.00-4.50%と従来よりも高めに見ている。その見方を裏付ける内容となるか注目される。
ユーロドルはパリティ(1.00ドル)を回復。欧州時間には今週のFOMCを控えドル買いの動きも見られ、ユーロドルは0.9965ドル付近まで値を落とす場面も見られていた。
市場では更なるドル高への期待が根強い中、ここ数日のユーロドルは底堅さも見られている。市場からは、ECBは積極利上げを継続せざるを得ないとの見方が強まっており、ユーロドルの下値をサポートしている模様。ただ、買戻しを強める雰囲気まではない。
8月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)のデータは総合指数で前年比9.1%に達し、物価上昇圧力が非常に強くかつ広範囲に及んでいることが確認された。一方、インフレの半分近くは石油・ガスの急騰が直接の原因だが、エネルギーはまもなく急激に低下し始めるとも見られている。しかし、エネルギー、食品を除いたコアインフレも8月に前年比4.3%と過去最高を記録し、ECBは今後の理事会で積極利上げを継続する必要があるという。
ポンドドルは1.14ドルちょうど付近まで買い戻されている。きょうはエリザベス女王の国葬で英市場は休みとなっているが、ポンドは下値模索が続き、一時1.13ドル台半ばまで下落する場面が見られた。
市場からは、英政府の経済戦略の信頼性に懸念があり、ポンドはさらに下落する可能性も指摘されている。市場は、クワルテン新財務相が示した年成長率を2.5%に引き上げるという目標が達成される見込みはないと考えており、多くは減税が財政を危うくするリスクのほうを懸念しているという。
同時に英経常赤字は対GDP比で記録的な水準まで拡大し、ポンドは海外投資家の判断に更にさらされることになる。来年もドル高が続くことが予想され、その場合、ポンドドルは6カ月後に1.08ドルまで下落する可能性があるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美