ただ、FRBのタカ派姿勢と日銀の金融緩和継続姿勢に変化がない限り、ドル円の上昇トレンドに変化はないものと思われ、下値では活発な押し目買いが引き続き入っている模様。
一方、ドル円の下支えの1つは米国債利回りの上昇だが、一部からは天井に近いとの見方も出ている。米国債市場ではトレーダーが感情的に行動している節があり、これは利回りが短期的に上限に達している可能性を示唆するという。
ただし、FRBが政策金利をどこまで引き上げるのか、年内もしくは来年初めにターミナルレート(最終着地点)に達するのかという市場の期待を反映し、2年債は当分、現行付近の4.50%前後で高止まりする可能性があるとも述べている。また、FRBはタカ派な発言を行う必要があるものの、深刻な不況を引き起こす前に利上げを止める可能性が高いとも述べた。
ユーロドルは買い戻しが優勢となり、0.98ドル台後半に戻している。きょうは一時0.98ドル台前半に下落。本日の21日線は0.9780ドル付近に来ているが、その水準より上はしっかりと維持されており、リバウンド相場への期待感は残している。
今週は木曜日にECB理事会が予定されている。市場では0.75%ポイント利上げを確実視している状況。しかし、それに対するユーロの上昇は限定的になるとの見方も出ている。市場では0.75%ポイント利上げを既に織り込み済みで、12月理事会の動向が注目となるが、0.50%ポイントに留めるという見方を遠ざけるようなインセンティブがないという。さらに、FRBも11月1-2日のFOMCで、タカ派姿勢を改めて表明する可能性が高い。
今後数四半期に及ぶエネルギー主導の景気後退による暗いユーロ圏の経済見通しを考慮すると、ユーロドルの強気シナリオは描きづらいという。
ポンドドルは緩やかな戻り売りに押され、1.12ドル台に値を落としている。リスク回避の雰囲気が一服しており、ドル買いの動きも一服しているものの、ポンドの上値は重い。きょうはスナク元財務相が与党・保守党内の支持を集め、事実上の次期首相に決まりそうだ。ただ、市場からは、スナク氏が英保守党党首選で勝利した場合でも、ポンドの上昇余地は限定的との声も聞かれる。
スナク氏が首相になった場合、政治的不透明感の後退で一旦ポンドに買い戻しが入る可能性はあるが、既に織り込み済みの面もあり、あまり大きな期待はしないほうがよいという。「噂を買って、事実で売る」といったリスクもある。英経済の情勢は短期的にあまり変化はなく、ポンドにとっても必ずしも良いニュースばかりではないという。英政府は10月31日にバランスのとれた中期財政計画を発表することを目指しているが、失われた財政責任を完全に取り戻せるかどうかは疑問だという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美