パウエル議長は0.75%の利上げには消極姿勢を示したものの、0.50%の大幅利上げはしばらく続ける意向も示唆していた。市場も改めて利上げの方向感を再確認しているようだ。
一部からは、インフレ圧力が続く中でFRBは引き締めを前倒しで行う決意を強めているとの見方が出ている。FRBは4回連続で0.50%の大幅利上げを行い、9月までに中立金利の水準に達した後、0.25%のペースに戻す可能性があると指摘。経済に対する全体的な見方に変化はなく、今回の利上げサイクルの着地点は3.00%~3.25%と見ているという。
一方、ドルの上値期待は依然として根強い中、ドルが下落基調に変化するには、FRBの秩序ある引き締めサイクルの実現と米経済のソフトランディングに対する確信が必要との見解も出ている。ただ、現時点でその判断を下すのは時期尚早だという。
ユーロドルは戻り売りが強まり、一時1.05ドルを割り込む動きも見られた。前日のFOMC後に1.06ドル台まで回復していたものの、その上げを失った格好。
前日はFRB,本日は英中銀が利上げを行ったが、一部からは、ECBの利上げを期待した声も出ている。高い不確実性にもかかわらず、ユーロ圏は成長を続けることが見込まれ、それに伴ってコアインフレもECBの目標を上回り続ける。そのため、ECBは2023年末までに計7回の利上げに踏み切ると確信していると述べている。
ECBは7月の会合で利上げを開始し、その後に9月と12月に追加利上げを実施。2023年には追加で4回の利上げが見込まれるという。
ポンドドルは一時1.23ドル台前半に急落。この日の英中銀金融政策委員会(MPC)もポンドの下げを加速させた。本日の下げで、節目として意識してきた1.25ドルを下放れる展開を見せており、下値警戒感が一層強まった格好。
英中銀は4回目の利上げを実施。政策金利を0.25%引き上げ、1.00%とした。ただ、ポンドは売りの反応。英中銀はウクライナ危機に伴うエネルギー価格高騰が家計支出を圧迫し、経済成長を弱めるとして、今後数カ月は慎重に行動する意向を示唆した。また、成長見通しを下方修正し、来年のマイナス成長の見通しを示したことも嫌気されている。インフレについては、今年後半に前年比10%台への上昇の可能性も示した。
4回連続の利上げは1990年代後半以来で、9名のMPCメンバー全員が利上げ自体には賛成していた。しかし、そのうちの3名は0.50%の大幅利上げを主張。ハスケル、マン、ソンダースの各委員。英中銀はまた、政策金利が1.00%に達したことで、保有国債の一部売却計画を策定するよう英中銀のスタッフに要請したことを明らかにしている。その計画は8月にまとめられ、国債の売却はそれ以降に開始されることになる。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美