ドル円は先週の瞬間的な125円台からの調整を経て、過熱感も一服している。FRBの積極利上げへの期待が強い一方、ウクライナ情勢は依然として混沌とする中で、投資家は根強くドルを選択している模様。ドル円も第2ラウンドの上昇への期待から底堅い値動きが続いていたが、123円ちょうどの水準は強い上値抵抗となっていた。しかし、ブレイナード発言でその抵抗が突破され、ストップを巻き込んだ格好となっている。
明日はFOMC議事録の公表が予定され、その内容が注目される。FRBのより積極的な姿勢を示唆するものであれば、ドルは上昇する可能性があるとの見方も出ている。今回公表される3月の議事録は、2018年以来初めて利上げを行った金融政策をFOMCメンバーどのように見ていたか、投資家に最新の洞察を与えることが期待されている。
ユーロドルは1.09ドルちょうど付近まで下落。きょうの下げで21日線を下放れる展開を見せ、3月のリバウンド相場のフィボナッチ半値戻しも下回って来ている。目先は同フィボナッチ61.8%戻しの1.0895ドル付近が下値メドとして意識。その水準をブレイクするようであれば、直近安値の1.08ドルちょうど付近が視野に入る。
ウクライナ情勢の影響もあり、市場のECBに対する見方は様々だが、ECBが今年2回の利上げを実施しても、金利はゼロにしかならず、米英と比較すれば、結局はかなり緩和的な水準と考えられるとの声も聞かれる。ECBの中銀預金金利はマイナス0.50%だが、市場では今年の利上げ幅を0.50%強と見ている。ECBは、ユーロ圏の経済活動の低迷と、米国とほぼ同水準の厳しいインフレ環境とのバランスを取るという複雑な課題に直面しているという。
ポンドドルは序盤に買いが強まり、1.3165ドル付近まで上昇したものの、ブレイナードFRB理事の発言で1.30ドル台に急速に押し戻された。
きょうは3月の英PMIが発表されていたが、第1四半期の英サービス業は好調に終えたものの、先行きに対する不安を高めている。3月の英サービス業PMI確報値は2月の60.5から62.6に上昇した。しかし、今後1年に対する企業の期待値は2カ月連続で低下し、2020年10月以来の低水準となった。将来の活動指数も2月の75.5から71.9に低下しており、家計の実質可処分所得が減少する中で、企業が需要の回復力を心配し始めていることを示唆している。
第2四半期の英経済は減速もしくはマイナス成長との見方が有力視されているが、今回の英PMIはその見方を裏付ける内容ではあった。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美