指数が予想を上回ったほか、1年および5-10年先のインフレ期待も予想以上に上昇し、ネガティブな雰囲気が広がっている。150円をターゲットに入れた感もあるドル円だが、いまのところ財務省が出てくる気配がないことも、上値追いの安心感につながっているのかもしれない。
財務省は為替介入によりドル円を押し下げようとしているのではなく、あくまで、投機筋などによる過度に急激な変動を抑制しようというスタンス。それが米国とのお約束。ただし、今週に入って再び上値追いが過熱気味になっていることは否めない。過熱感を測るテクニカル指標であるRSIも買われ過ぎの水準に再び上昇。そろそろ留意される状況にはあり、150円へのアプローチは慎重に行くべきかもしれない。
ユーロドルは戻り売りが優勢となり、0.97ドル台前半に伸び悩んだ。基本的にユーロはドルやポンドに振らされる展開が続いており、ユーロ自身の材料では動いていない。足元のインフレが過去最高水準まで上昇していることから、ECBの利上げ期待は根強いものの、リセッション(景気後退)への警戒もあり、ユーロは上値を上値を追えない状況。
そのような中で市場からは、今月27日の次回ECB理事会で量的引締め(QT)が議論されるとみられている。一部からは、ECBは来年2月で利上げサイクルを終了し、3月もしくは第2四半期にQTを開始との見方が出ている。
保有国債を売却するのではなく、満期を迎えた保有国債の再投資を徐々に減らして行くことで、バランスシートの縮小を試みると見ているようだ。利上げサイクル下ではあるものの、現在は全額再投資している。ただ、次回理事会での具体的な発表はないものとみられる。なお、利上げについては0.75%が有力視されている状況に変化はない。
ポンドは上下動しているものの、全体的には戻り売り優勢の展開。前日のポンドドルは、「トラス首相が減税案の方向転換に向けて作業中」と報じられ、期待感が高まり、1.13ドル台半ばまで買い戻されていた。しかし、きょうは1.11台半ばまで下落する展開。ただ、トラス首相は本日、クワーテング財務相を更迭し、減税策を修正。法人税の引き上げ凍結を撤回すると発表し、劇的に方針を転換した。新財務相にはハント元外相を充てる。
これを受け市場からは、トラス首相の方針転換により英中銀は市場が最近予想していたほど積極的に金利を引き上げる必要はないとの見方が出ている。市場では11月の英中銀金融政策委員会(MPC)で最大1.50%ポイントの利上げの可能性を織り込む動きが見られていたが、本日の短期金融市場では1.00%ポイントの利上げで織り込む動きを見せている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美