きょうから本格的に7-9月期(第3四半期)相場がスタート。上半期はFRBのタカ派姿勢とインフレ高進が重なり、景気を圧迫するとの懸念が株価を押し下げた。一部には底打ちへの期待も出ているものの、今度はリセッション(景気後退)への懸念が本格的に台頭しており、なお弱気な見方は少なくない。上海市で市内全16区のうち9区で大規模検査を始めたことで、再びロックダウンへの不安も燻っている状況。
今後、米経済指標がリセッション(景気後退)の可能性を強めるような内容が増えてくれば、よりリスク回避の動きは強まるとの指摘も出ている。そのような中、リスク回避に対してドルと円は同方向の反応を示していることから、ドル円は狭い範囲での値動きに終始しているようだ。
ユーロドルは1.0235ドル付近まで一時下落するなど下値模索が続いている。20年ぶりの安値水準に下落。ユーロ圏のリセッション(景気後退)リスクの高まりを踏まえ、市場はECBの利上げ見通しを後退させている。短期金融市場では年内のECBの利上げ期待を、1.40%ポイント未満に低下させている。従来は1.90%ポイントまで拡大させていた。
先週発表のユーロ圏消費者物価指数(HICP)は過去最高水準までインフレは上昇していたものの、リセッション(景気後退)への懸念で、市場が期待するほどECBは利上げできないと考え出している模様。市場は今月の理事会での0.25%ポイントの利上げを見込んでおり、9月は0.50%ポイントが見込まれている。それでもFRBよりは利上げスピードは遅いと見られている。
市場ではユーロドルはパリティ(1.00ドル)まで下落するとの見方が根強い。確率は60%との見方も出ており、パリティーは時間の問題との指摘も出ている。
ポンドドルも売りを強め、一時1.19ドル台前半まで急落。心理的節目の1.20ドルを完全にブレイクし、年初来安値を更新。2020年3月以来の安値水準に下落している。
ただ、英中銀の利上げについては市場の見方が分かれている。英インフレは秋にも2桁まで急上昇するとの見方の一方で、リセッション(景気後退)およびアイルランド議定書などEUとの貿易摩擦など英経済の課題は多い。そのような中で英中銀は8月で利上げを一旦中止するとの見方がある一方で、インフレ懸念から利上げを継続し、大幅利上げの可能性も指摘されている。
今週は英中銀委員の講演が多数予定されており、積極利上げの可能性を示唆した場合、ポンドは買い戻されるとの見方も出ている。委員が次回8月の金融政策委員会(MPC)で0.50%ポイントの利上げに踏み切ることを示唆すれば、ポンドにとってプラスとなり、リバウンドの引き金となるかもしれないという。
きょうはベイリー総裁やテンレイロ委員の発言が伝わっていたが、特に反応はなかった。明日はカンリフ副総裁とピル・チーフエコノミスト、そして、木曜日にはマン委員が発言を予定している。
なお、本日は英重要閣僚の相次ぐ辞意表明が伝わった。スナク財務相とジャビド保健相が辞任を表明。ジョンソン首相への信頼を失ったとしている。ただ、このニュースに対するポンドの反応は限定的となっている。ジョンソン首相は辞任せず、新閣僚指名を計画している。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美