ただ、145円より上には慎重な雰囲気もある。市場推計では22日の介入規模は3兆円程度と伝わっていた。日本の外貨準備の規模、および、過去の介入規模からすれば、まだ財務省に余力は十分ありそうだ。
市場のセンチメントは依然としてドル選好だが、投資家がドルへのエクスポージャーを増やす余地はまだあるという。市場のドル選好は強いが、まだ極端ではない。先週末に米商品先物協会(CFTC)が発表した建玉報告によると、ドルのエクスポージャーの総額はまだ5月の水準を下回っており、2015年の過去最高値と比較すると半分だと指摘。そのため、ドルのロングポジションはより拡大される余地があるという。ドル高のセンチメントが反転するには、FRBがインフレよりも成長を重視するようになる必要があるが、現在のところ、その可能性は低いとしている。
ユーロドルの上値は重い。東京時間にはポンドドルの下落に連れ安して、0.95ドル台半ばまで急落する場面が見られた。その後は0.96ドル台に戻してはいるものの、買い戻しを強める気配はない。この日は9月調査のドイツIfo景況感指数が発表になり、84.3と予想を下回り、パンデミック時の2020年5月以来の低水準となった。GDPの縮小を示唆している。
市場からは、この明確な景気後退のシグナルはエネルギー価格ショックが消費者の購買力を低下させ、多くの企業にとって生産が採算に合わなくなってきている。そのためドイツ経済は困難な冬を迎えるとの指摘が強まっており、先週発表のPMIもその可能性を示唆していた。
ドイツIfo景況感指数(9月)17:00
結果 84.3
予想 87.1 前回 88.6(88.5から修正)
ポンドドルは買い戻されているものの、東京時間に1.03ドル台まで急落する場面が見られた。過去最低水準。ポンドドルはパリティ(1.00ドル)まで下落するとの見方も出ている中で、下値模索が続いている。
トラス政権の打ち出した大型減税を含む経済対策が財政圧迫につながるとの見方が市場に広がっている。同時に財政拡大策がインフレに繋がるとの見方もあり、ポンドは先週から売りが強まった。きょうは東京時間の薄商いの中で、フラッシュクラッシュが起こったようだ。
市場ではポンド下落により英中銀が緊急利上げを実施するのではとの見方が広まっており、短期金融市場では11月までに1.75%の利上げを織り込む動きが出ている。その場合、どこかで緊急利上げを実施することを意味する。しかし、市場からは、緊急利上げは有益でない先例を作ることになるため可能性は低いとの指摘も出ている。ポンド安が多くの企業に大きな財務的な苦境をもたらす可能性は低く、緊急性は低いという。また、緊急利上げは政府にとっては大打撃となるため、英中銀は待機する可能性が高いとしている。
ベイリー英中銀総裁も緊急で発言を行っており、「必要なだけの金利変更を躊躇しない」と述べる一方で、「英中銀は次回の金融政策委員会(MPC)でポンド安と財政計画を評価する」と述べた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美