ロンドン市場は、円相場が全面安となった。ドル円は一時121.03レベルまで買われ、2016年2月以来のドル高・円安水準となった。東京朝方の119円台半ばからは1円50銭を超える上昇幅となった。クロス円の上昇も加速した。ユーロ円は一時133円台乗せ、ポンド円は159円台後半へ、豪ドル円は89円台後半へと買われた。市場では日米金融当局の対照的なスタンスの差が改めて意識されている。昨日にパウエルFRB議長が0.5%幅など大幅利上げの可能性を示唆したことが決定打となったようだ。米10年債利回りは一時2.35%台まで上昇。東京市場でドル円が節目の120円台を突破したことをきっかけに、ファンド勢が円売りを持ち込んだとの観測もでていた。ドル円以外の通貨ではポンドドルや豪ドル/ドルが上伸、ユーロドルは東京市場での下げを消すなどドル売りの動きが優勢で、クロス円の上昇を支援していた。欧州株は米株先物・時間外取引とともに堅調に推移している。ウクライナ情勢に進展はみられず、依然として深刻な状況となっているが、市場はロシア債デフォルトがひとまず回避されたことを好感しているようだ。
ドル円は120円台後半での取引。きょうは東京市場から急速に円安が進行している。東京朝方の119円台半ばから120円台をつけたあと、東京午後には一気に120円台半ば付近に上昇。ロンドン市場では120.50レベルを上回ると121.03レベルまで一段と買われた。2016年2月以来の高値水準となっている。その後の押し目は120円台後半と、比較的浅い動きにとどまっている。
ユーロドルは1.10近辺での取引。東京市場では1.10台前半から1.09台後半へと軟調に推移。ドル買い圧力に押されていた。しかし、ロンドン朝方につけた1.0961レベルを安値に、その後は買い戻されて1.10台を回復した。ユーロ円の上昇とともに方向転換した。ユーロ円は東京市場で132円台乗せ。その後の押し目はほとんどみられず、ロンドン市場では133.06レベルまで上伸した。売り戻しは132円台後半まで。対ポンドでは売りが入っており、ウクライナ情勢を受けた欧州経済の不透明感が反映された面があったようだ。デギンドスECB副総裁は、インフレはより上昇、より長期化する可能性、と警戒感を示した。一方、ビルロワデガロー仏中銀総裁は、ECBはエネルギー価格の変動に過剰反応すべきではない、基調的、中期的な物価動向に焦点当てるべき、と慎重姿勢だった。
ポンドドルは1.32台前半での取引。東京市場での軟調な流れを受けてロンドン朝方には1.3120レベルまで軟化した。しかし、その後は買いが勢い付いて1.3227レベルまで100ポイント超の上昇となった。ポンド円は158円近辺から159.80近辺へと上伸。足元でも双方ともポンド高水準で推移している。ユーロポンドが軟調。0.8370近辺から0.8310台まで下落している。円安とユーロ安の両面からポンドは下支えされていた。
minkabu PRESS編集部 松木秀明