ただ、米株式市場でダウ平均が一時900ドル近くまで下げ幅を拡大するなど急落しており、ドル円は128円台半ばに再び戻した。
市場は引き続きFRBの積極引き締めへの警戒感を強めている。前日はパウエルFRB議長の講演が伝わり、「もう少し早く動くのが適切。次回5月FOMCで0.50%の大幅利上げが議題になる」と大幅利上げの可能性に言及した。他のFOMCメンバーからも複数回の大幅利上げの可能性への言及もあり、市場は再び金利先高観を強めている。短期金融市場では次回5月以降9月FOMCまで連続4回の0.50%利上げを織り込む動きが出ている。
今週のドル円は利益確定の動きも見せていたが、130円台はなお視野に入れた動きを続けているようだ。
ユーロドルは売りが強まり、1.07ドル台に再び下落。1.08ドルの水準が強いサポートとなっているが、その水準を再び下回っており、早期に戻せるか注目される。
この日は4月調査のユーロ圏PMI速報値が発表になっていたが、サービス業は予想以上に上昇し、第2四半期に良い状態でスタートしたことが示された。一方、製造業は予想以上に低下し、ドイツではすでに縮小しているとの指摘も出ている。また、この先の生活コスト上昇と消費者信頼感の低下を考慮すれば、現在のサービス業の好調さもすぐに衰える可能性も指摘されている。そのような中、市場はECBの年内2-3回の利上げを織り込んでいるが、夏以降のユーロ圏の景気を鑑みれば、市場の織り込み度合いは楽観的過ぎるとの声もあるようだ。
ポンドドルは売りが強まり、1.28ドル台前半まで一時急落。前日までは1.30ドルの攻防戦を繰り広げていたが、下放れした格好となっている。2020年10月以来の安値水準。ドル高の動きも去るながら、ポンド売りもポンドドルを圧迫しているようだ。この日発表になった4月調査の英PMI速報値と英消費者信頼感指数がそのきっかけとなった模様。英PMIはサービス業の低下が顕著だったほか、消費者信頼感指数は2008年のリーマンショック以来の水準に低下している。リセッションの可能性を示唆する内容との受け止めも多い。
英国では4月にガス・電力の合計価格の上限が54%引き上げられた。エネルギー価格の高騰を反映したものだが、昨年までのようなパンデミックに伴う財政支援策もなくなり、英国では生活危機が叫ばれている。足元の英消費者物価指数(CPI)は前年比7.0%まで高騰しており、英中銀も利上げを実施しているが、成長への懸念も高まっており、このところの英中銀は利上げに若干慎重なスタンスも見せ始めている。先ほど、ベイリー英中銀総裁の発言が伝わっていたが、「成長リスクとインフレリスクのバランスをとる必要。政策の道筋は非常に不透明」と述べていた。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美