(11日)
東京市場は、円安が進行。ドル円は週明けオセアニア市場で124円付近まで下押しされたが、大台を維持した。その後は上昇に流れが転じた。黒田総裁が朝の日銀支店長会議のあいさつで、これまで同様に「必要があれば躊躇なく追加緩和」と緩和姿勢を強調したことが円売りを誘った。ドル円は125円を試す動きに。米10年債利回りが2.70%台から2.78%付近に上昇したことも支援材料だった。午後には125円台乗せとなった。ユーロ円は135円台前半から136円台へと上昇。ユーロドルは一時1.09台乗せも、ドル高圧力に上値を抑えられた。ただ、週末の仏大統領選で現職のマクロン大統領が得票数1位で決戦投票に向かうこととなった。決選投票でも大統領のルペン候補に対する優位が伝えられ、ユーロの下支えとなっていたようだ。
ロンドン市場では、円安の流れが強まった。ドル円は125.70台まで上値を伸ばし、2015年6月につけた125.86レベルの高値に迫る動きとなった。東京市場での黒田日銀総裁発言を受けた円安の動きが継続した格好。ユーロドルは週明けオセアニア市場で1.09台乗せまで買われたあと、ロンドン朝方には1.0870台まで反落したが、ロンドン勢の本格参加とともに再び上昇。1.0930台に高値を伸ばした。ユーロ円は東京午後の135.80台から騰勢を強めて、一時137円台に乗せた。ドル円、ユーロドル双方が上昇しており、ユーロ円を押し上げていた。ポンド円も162.50割れから163.80台まで大幅上昇。クロス円は軒並み大幅高となった。
NY市場では、ドル買いが優勢。ロンドン午前からNY朝方にかけて、ドル円は125.70台まで上伸。その後は125円台半ばに高止まりした。目先は2015年のアベノミクス時に付けたピークである125.85円付近が意識されている。この水準より上は、2002年1月に付けた135円台前半の高値まで、テクニカル的な上値抵抗がほとんどない。ドル指数やユーロドル動向が今後のカギとなるとの声も。ユーロドルはロンドン朝方に1.0930台まで買われたあとは、ドル買いに押されて1.0870台まで反落。3月サポートの1.08ちょうど近辺が下値のメドに。ドイツ10年債利回りは一時0.82%まで上昇、2015年以来の高水準となった。ECBが今週の理事会でタカ派に転じるとの期待が背景。一方、インフレ退治とともにスタグフレーションへの懸念を悪化させる面も指摘された。ポンドドルはロンドン市場で1.30台割れから1.3050台まで上昇したあと、NY市場では1.30台前半で売買が交錯した。この日発表された2月英月次GDPは前年比0.1%増にとどまった。インフレが生活水準低下につながる面が指摘されており、今後の成長見通しには悲観的な見方が多いようだ。
(12日)
東京市場では、ドル円が神経質に振れた。朝方に鈴木財務相が円安動向について緊張感をもって注視と発言、ドル円は125.11近辺まで下押しされた。しかし、すぐに値を戻して125.50台まで反発。午後には125円台前半で売買が交錯した。ユーロ円は136.20近辺まで下押しされた後の戻りは136.50台まで。前日海外市場でつけた高値137.10付近からは上値重く推移している。ユーロドルは1.09台が重くなっており、1.0860台まで水準を下げる動き。ドル買い圧力とともに前日の急伸に調整が入った面も。
ロンドン市場では、ドル高水準での推移。米消費者物価指数の発表をこのあとのNY時間に控えて、インフレ高進に対する観測が広がっている。事前予想によると、今回の3月データは前年比+8.4%と前回2月の+7.9%から一段とインフレ率が上昇する見込み。米10年債利回りはロンドン序盤に2.83%まで上昇した。ドル円は一時125.76レベルと、前日NY市場で付けた高値水準にほぼ並んだ。ユーロドルは1.0854レベル、ポンドドルは1.2994レベルまで安値を広げた。ただ、その後は米消費者物価指数の結果を見極めたいとして、ドル高水準での揉み合いに。この日発表された4月独ZEW景況感指数は-41.0と前回の-39.3から一段と低下した。ただ、事前予想-48.5は上回った。独ZEWは、インフレ期待が直近数カ月の急上昇から低下し、今後に期待つなぐとしたが、今後6カ月間はスタグフレーションが続き見込みと悲観的な見方を中心に据えていた。また、WTOは今年の世界貿易見通しを下方修正した。ウクライナ戦争が要因としていた。欧州株はマイナス圏で推移。一方、米株先物・時間外取引はプラス圏を回復している。
NY市場では、ドル相場が上下動。朝方発表になった3月の米消費者物価指数は総合指数が予想を若干上回ったが、エネルギー・食品を除いたコア指数は予想を下回る結果となった。今回の米CPIに市場からは、インフレのピークアウトへの期待が高まっている。FRBは前回の会合で利上げを開始し、年内はさらに加速度的に引き締めを行う姿勢を示唆しているが、若干緩むのではとの期待にもつながっていたようだ。ドル円は一時124.70台まで下落。しかし、NY原油先物が100ドル台を回復したことがインフレ警戒を広げ、ドル円は125円台に戻した。ユーロドルは一時1.09台を回復したが、その後は売り戻されて1.08台前半まで下落。ポンドドルも一時1.3055付近まで上昇したが、取引後半には1.30台割れを試す展開となった。
(13日)
東京市場で、ドル円は上値を試す動き。前日NY市場での買い戻しの流れを受けて、東京市場では125円台前半から125.73近辺に高値を伸ばした。今週は125.70台まで何度か上昇も、2015年高値125.86レベルには届かなかった。ただ、前日海外市場でいったん大きな調整が入った後だけに、短期ポジションが整理されて上値を試しやすくなっている面も指摘される。米株先物や日経平均が堅調に推移し、円安につながる面も。ユーロ円は135円台後半から136円台を回復。ユーロドルは1.0810付近まで下押しされたあとは1.0840近辺へと下げ渋り。NZドルが堅調。NZ中銀会合では0.5%利上げが発表された。市場予想は0.25%利上げが大勢を占めており、サプライズ的にNZドルが買われた。しかし、一気に大幅利上げを行ったことが今後の利上げが落ち着くとの思惑を広げ、長期金利が低下。NZドルも反落した。
ロンドン市場では、ドル買いが優勢。ロンドン朝方はドル円の上昇が目立った。黒田日銀総裁が「現在の強力な金融緩和を粘り強く続ける」と述べたことをきっかけに125円台後半から126.32レベルまで高値を伸ばした。2002年5月以来、約20年ぶりの高値水準に。その後の調整は浅く、126円付近での取引が続いている。この日は鈴木財務相、神田財務官、松野官房長官などから為替の安定が重要とのメッセージが発せられたが、市場の反応は限定的だった。ロンドン序盤に米10年債利回りが2.78%台へ上昇したこともドル買い圧力となった。ユーロドルは1.0810台へと軟化する場面があったが、東京朝方の安値には届かず、1.08台前半と前日からの安値圏で推移している。ポンドドルは一時1.3020台に上昇。3月英消費者物価指数が前年比+7.0%と1992年3月以来 30年ぶり高水準となったことに反応した。しかし、ドル高圧力に押されて1.2970台まで下落。その後は1.30台前半へ。クロス円はドル円とともに上昇。ユーロ円は136円台前半から126.75近辺へ、ポンド円は163円台前半から一時164円台乗せへと買われた。欧州株の上値は重いが、米株先物は前日の下げから反発。NY原油先物は102ドル台に乗せる堅調な動き。
NY市場では、ドルの戻り売りが優勢。この日発表の米生産者物価指数(PPI)は過去最高の上昇となり、インフレ懸念を強める内容となった。しかし、米国債利回りは低下し、ドル円を圧迫した。米国債利回りが低下する特段の材料は見当たらないが、市場からは、FRBがインフレ対策にどこまで踏み込むかについて、市場は徐々に積極的な動きを控え始めているとの声も。ドル円は126円台を維持できず反落、一時125.40付近まで伸び悩んだ。ユーロドルは3月につけた直近安値1.08レベルがサポートされ、NY時間には1.08台後半へと反発した。あすのECB理事会では、政策に大きな変更はない見込みだが、APP終了時期を夏の間などと具体的に示し、利上げ開始への道を開くことが期待されているもよう。ポンドドルも1.31台へと買い戻された。ウクライナ先行によるエネルギー価格高騰の波及が懸念されるなかで、目先は英中銀が利上げで対応せざるを得ないとみられている。この日はカナダ中銀の政策発表が行われたが、0.50%の大幅利上げと4月25日での国債購入の停止を発表した。マクレム・カナダ中銀総裁は会見で「政策金利は中立金利への上昇を見込む」と述べた。大方予想範囲内として市場の反応は限定的。カナダドルはドル安の動きのなかで買われた。
(14日)
東京市場は、調整の動きが優勢。ドル円は早朝の125.70近辺を高値に売りに押される展開。昼過ぎには125.10近辺まで下押しされた。その後は125.40台へと小戻ししているが、125円台半ばには届いていない。米10年債利回りが朝方の2.71%付近から一時2.65%台へ低下したことも重石。ユーロドルは1.09台乗せと堅調な動き。前日NY市場で1.08台前半から1.08台後半へ上昇した流れを受けて、東京午前には1.09台に乗せた。これまでのドル高相場に調整が続いている。ユーロ円は136円台半ばから136.90付近へと上昇。ドル円の下げ渋りとともにユーロドルの上昇が後押しした。日経平均、米株先物はともに堅調。
ロンドン市場は、前日からのドル安圏で揉み合っている。このあとのECB理事会の結果発表およびラガルドECB総裁会見、米小売売上高など一連の米経済指標発表を控えて模様眺めとなっている。ドル円は一時125.09レベルまで一段安となったが、その後は125.40近辺へと下げ渋り。ユーロドルは東京市場でのじり高の動きを受けて、朝方に1.0923レベルに高値を伸ばした。その後は1.09台前半で高止まりに。ポンドドルも同様に1.3147レベルまで買われたあとは1.31台前半で揉み合っている。いずれも前日からのドル安圏での推移。米10年債利回りは2.65%台まで低下する場面があったが、その後は2.71%近辺まで上昇し、方向性に欠ける振幅となっている。ドル指数は続落しており、ドル高の流れは一服している。
NY市場はドル買いが復活する中、ドル円は一時126円台を回復する場面が見られた。きょうのドル買い復活には2つ要因が挙げられる。1つ目はこの日のECB理事会を受けてユーロが対ドルで下落したこと。2つ目は、この日発表の米輸入物価指数が予想を上回り、インフレ警戒感を再び強めたことが挙げられる。米国債利回りも急反転し、米10年債が2.82%まで上昇する中、ドル買いを誘発した。
(15日)
東京市場は、ドル高の動きが優勢となった。前日のウィリアムズNY連銀総裁による5月のFOMCでの0.5%の利上げ、妥当な選択肢との発言を受けたドル買いの流れが継続する展開に。126円台に再び乗せると、13日の高値を超えて126円台半ば超えまで。グッドフライデーでロンドン・ニューヨーク市場が休場となる中、126円台半ばからの買いには慎重姿勢が見られたが、押し目は限定的で堅調地合いが続いた。
ロンドン市場は休場、NY市場は連邦政府の休日ではないものの、株式、商品などの市場が休場となり、事実上休場。