(25日)
東京市場で、ドル円は振幅。週明けの市場は買いが先行。先週金曜日にTBSが報じた日米財務相会談で協調介入が議題となり前向きに検討してくれるトーンだったとの報道について、財務省幹部が通信社に対して匿名を条件にはっきりと否定したことが週末に報じられ、128円台前半から後半へと上昇。その後は、米株先物・時間外取引が先週末から一段と下落、リスク警戒の動きで128円台前半に押し戻された。米債利回りの低下もドル円の重石に。ユーロ円は138円台後半から139円台乗せも、138円台前半へと下落。ユーロドルは1.08台乗せでは売りに押され、1.07台後半へと軟化。週末の仏大統領選決選投票で現職のマクロン大統領が勝利したが、ユーロの上値は重かった。
ロンドン市場は、リスク回避ムード一色。先週後半から引き続き米欧金融引き締め姿勢が警戒されているほか、中国主要都市でのロックダウン措置導入の動きが中国の景気鈍化への懸念を広げていることが背景。ドル円とともにクロス円が下落、ドル円以外の通貨でのドル買いの動きも顕著。そのなかでは、独Ifo景況感指数が予想外に改善したユーロは比較的底堅く推移。一方、英CBI製造業受注指数が予想以上の低下となったことで、ポンド売りが強まっている。中国株の急落を受けて欧州株も軟調に推移するなかで、ユーロドルは1.07台後半から1.0707近辺まで下落。ポンドドルは1.28近辺から1.2750割れとなったあといったん下げ渋ったが、再び1.2705近辺に安値を広げている。ユーロ買い・ポンド売りが入っていた。ユーロ円は138.50付近から137.18近辺まで下落したあとは、下げ一服。ポンド円は164.50付近から163.50割れとなり、足元ではさらに163円台割れと軟調。ドル円は128.50付近から序盤に127.89レベルまで下落したが、その後は128円台前半で揉み合っている。
NY市場では、ドル円が再び下落した。NY時間に入ると米債利回り低下とともに戻り売りが優勢となり、127円台半ばまで一時下落した。中国で感染に収束の気配が見られず、ロックダウン措置が上海のみならず北京にも導入されるとの懸念が広がっている。市場ではFRBの積極利上げによる景気後退を不安視する声がある中で、中国でのロックダウンの広がりはサプライチェーン問題を悪化させ、景気後退への懸念に拍車をかけるとの指摘が聞かれる。ユーロドルは売りを強めており、1.07台を一時割り込んだ。2020年3月以来の安値水準。きょうの市場はリスク回避の雰囲気を強めており、為替市場はドル買い・円買いの動きが優勢となっている。 FRBは積極利上げへの姿勢を強める中で、ECBは利上げの可能性を示唆しつつも、慎重姿勢も崩していない。ポンドドルも売りが加速し、一時1.26台まで下落。2020年9月以来の安値水準。市場からは、多くの先進国に景気後退観測が広がれば、英国は特に他国よりも大きなリスクを抱えているとの指摘も。
(26日)
東京市場で、ドル円は振幅。朝方に128円台割れから127.34近辺まで下落。渡辺元財務官が130円や135円が日本経済にとってとても悪い水準ではない、介入をすぐに望んでいるとは思わない、などと発言したことを受けて反発。午後には再び128円台乗せ。ロンドン勢の本格参加を前に再び127.80台へと軟化した。ユーロ円は136.50台から137.50台での振幅。ユーロドルは午前中に1.0730台まで買われたあとは、高止まりに。豪ドル円は朝方に91.50割れまで下落したあとは、買いが強まり92.50台まで上伸。その後は上値追抑えられた。
ロンドン市場は、ドル高と円高が優勢。欧州株は前日の大幅安から反発しているが、米株先物は時間外取引で上値重く推移。NY原油先物は97ドル台から99ドル近辺で神経質に振幅。米10年債利回りはロンドン早朝に2.86%付近まで上昇していたが、その後は2.78%まで低下。ドル円は128円台では売りに押される展開で、ロンドン時間には127.60台へと再び押し戻されている。クロス円も総じて下落に転じており、ユーロ円は137円台から136円台前半へ、ポンド円は163円台から162円台前半へと下落。対ドルでもユーロやポンドは軟調。ユーロドルは1.07台割れから1.0670台へと安値を広げ、2020年3月以来の安値水準となった。ポンドドルは1.27台後半から1.27台割れを試す動き。ウクライナ情勢の膠着、米国など主要国中銀の金融引き締め姿勢、中国での新型コロナ感染拡大と成長鈍化懸念などネガティブな材料は依然として多い。
NY市場では、リスク回避ムードが継続。ドル買い以上に円買いの動きが強まっている。ドル円は先週サポートされた127.45付近を一時下回り、127円ちょうど付近まで下落する場面もが見られた。その後は127円台後半へと反発したが、128円には戻し切れず。上海に引き続き北京でもロックダウンの措置が実施されるのではとの不安から、中国経済への懸念が強まっている。一方、FRBの積極利上げへの期待は依然として強く、5月FOMCのみならず、9月FOMCまで連続で0.50%の大幅利上げが実施されるのではとの観測も出ているようだ。市場では景気後退のシナリオが再浮上しており、米国債利回りも急速にイールドカーブのフラット化が進む中、ドル円も戻りが優勢に。ユーロドルは下値を切り下げる動きが加速、1.0640近辺まで下落し、2020年3月以来の安値水準に。ポーランドのガス配給会社がロシアのガスプロムから天然ガス供給を明日からすべて停止するとの通告を受けたと報じられた。ポンドドルも1.25台まで急落し、2020年7月以来の安値水準となった。世界的な景気後退であれば、主要国の中では英国が最も影響が深刻になるとの見方もあり、ポンドは対ユーロでも下落している状況。
(27日)
東京市場で、ドル円は下に往って来い。前日の株安を受けたリスク警戒で朝方には127円台割れから126.90台まで一時下落。ただ、ストップロス狙いで強引に売られた面もあり、その後は一転して買い戻しが強まった。日経平均は午前中に600円超の下落となる場面があったが、その後は下げ幅を縮小、アジア株も値ごろ感から下がると買いが出ていた。ドル円は昼には127.80台まで反発した。ロンドン勢の参加を引開けて128円台をうかがう動きとなった。ユーロ円も135.05近辺まで下押しされた後は買い戻されて、136円台乗せへと上昇。第1四半期の豪消費者物価指数は強めの数字だったが、発表直後は反応薄。早期利上げがある程度織り込まれているようだ。ただ、その後は円安の流れとともに90円台後半から91円台後半まで買われた。
ロンドン市場は、ドル買いが継続。ユーロドルの下げが主導する格好。ロシアのガスプロムがポーランドとブルガリアへの天然ガス供給を停止との報道がユーロ売り圧力となった。ユーロドルは1.06台割れから1.0586レベルまで一時下落。2017年4月以来の安値水準となった。ユーロ売りの面が強く、ユーロ円は一時135.11レベル、ユーロポンドは0.8424レベルまで下押しされた。序盤はドル買いの動きも広がった。ポンドドルは一時1.2536レベルまで下落。ドル円は128.10レベルまで上昇。ドル指数は一段と上昇、2020年3月以来の高水準となった。米10年債利回りは2.79%付近まで一時上昇した。欧州株は売りが先行したが、米株先物が堅調なことを受けてプラス圏に浮上している。株式市場にはガスプロムの報道の影響は軽微だったようだ。為替市場でも序盤のドル買いやユーロ売りの勢いは一服している。
NY市場でも、ドル買いが優勢。ドル円は128円台を回復、128.60付近まで高値を伸ばした。ドル買いが下支えするとともに、きょうは米株が反発し景気後退を懸念したリスク回避ムードも一服した。世界的な景気後退への懸念の1つに中国のロックダウン拡大と景気減速への警戒感があるが、中国政府が、インフラ建設を強化する方針を明らかにしたこともネガティブな雰囲気を一服させている。日銀が明日、金融政策決定会合の結果を発表する。大きな政策変更はなく、現行の金融緩和を維持すると見られている。ユーロドルは売りが加速、一時1.05台前半まで下落した。2017年3月以来の安値水準となり、心理的水準1.05をうかがう展開に。きょうは一服しているものの、景気後退への懸念は根強く、ウクライナ情勢が混沌とする中で、ユーロドルは売りが続いている状況。ポンドドルも心理的水準の1.25ちょうど付近まで下落する場面があった。下値模索は5日連続となった。英CBIが4月の小売販売の景況感を発表し、予想外の急低下となっていた。このところ、英消費関連指標に弱い数字が相次いでおり、ポンド相場を圧迫している。
(28日)
東京市場では、ドル円が130円台を示現。日銀金融政策決定会合を受けて円売りが一気に強まった。日銀は毎営業日の指し値オペ実施を表明、市場の一部には悪い円安に対応するために政策調整があるのではとの思惑もあったが、むしろ金融緩和策の強化の内容だったことが背景。ドル円は128円台から130円付近の攻防を経て、130.27レベルまで高値を伸ばした。クロス円も軒並みの円安進行。ユーロ円は135円台後半から136円台後半へ上昇。ポンド円は161円台前半から162円台後半へ上昇。対欧州通貨ではドル買いの動きがみられた。ユーロドルは1.05台を割り込み、1.0483レベルまで、ポンドドルは1.25台前半から1.2492レベルまで下落した。
ロンドン市場は、円売りが強まった。日銀の強力な緩和継続姿勢が背景。きょうの決定会合で日銀は毎営業日の指し値オペ実施を表明、市場に金融緩和強化を印象付けた。黒田日銀総裁の会見では「金利の上限をしっかり画するため、指し値オペ明確化」「好循環の中での安定的な2%実現には時間がかかる」「強力な金融緩和を粘り強く続ける」とした。また、円相場については「全体として円安プラスとの評価は変えてない」と従来からの姿勢を維持した。ドル円は130円台乗せから一時131.01レベルまで買われ、2002年4月17日以来の高値水準となった。その後、財務省幹部が「為替、足元の動きは極めて憂慮すべき」と述べた。円安けん制としてはこれまでよりも強い言葉が発せられたことで130.20付近まで一時反落。130円台は維持されている。クロス円でも円安の動き。ユーロ円は135円台半ばから買われ、ロンドン序盤には138円ちょうどまで高値を伸ばした。その後の戻りは137円前後まで。ポンド円も161円台から一時164.25近辺まで上昇、その後の調整は162円台後半へとやや深めの動き。ポンドは対ドルや対ユーロでも軟調で、ポンドドルは1.25台後半に上昇後、1.24台後半へと下落。ユーロドルは1.04台後半に下押しされたあと1.05台後半に反発も、再び1.05前後へと押し戻されている。ドル指数は前日から一段高となっており、ドル高の流れは根強い。
NY市場では、ドル買い・欧州通貨売りが加速した。ユーロドルは1.05台割れから1.0470付近まで下落、ロンドン朝方から一段と売りが進行した。その後は下げ一服も、1.05台前半に低迷している。市場では、心理的水準1.05を割り込む動きを受けて、ユーロとドルのパリティー1.00を視野に入れるとの見方もでていた。一方、ECBがユーロ下落を阻止するために口先介入などを実施するとの思惑もあった。ポンドドルも心理的水準1.25を割り込み、一時1.24台前半まで下落。2020年7月以来の安値水準となった。来週の英MPCに向けて、市場での0.50%の大幅利上げの見方は一気に後退し、0.25%の利上げにとどまることがコンセンサスとなっていた。ドル円は131.20付近まで再び高値を伸ばした後は130円台後半に高止まりした。第1四半期の米GDP速報値が発表され、予想外のマイナス成長となった。今回のGDPは在庫投資や純輸出の減少が圧迫し、事前に減速が見込まれていたが、個人消費の伸びが予想外に小さかったことや政府支出の減少がマイナス成長に繋がった。しかし、一時的要因も多く、設備投資は堅調なことから、悲観的な雰囲気までは出ていなかった。
(29日)
東京市場は昭和の日の祝日のため休場。
ロンドン市場は、ドル売りが優勢。週末を控えて調整の動きに押されている。ドル円はオセアニア序盤につけた130.95レベルを高値にその後は軟調に推移。ロンドン序盤には130円台割れから129.77レベルまで下押しされた。その後、米債利回りの上昇とともに130.50付近まで反発したが、再び130円台割れと上値が重い。ユーロドルもドル売り圧力に押し上げられて、1.05台前半から1.0593レベルまで上昇。その後も1.05台後半に高止まりしている。ポンドドルは1.24台後半から1.2580近辺まで買われている。クロス円はドル円の値動きを反映しての振幅。ユーロ円は137円台で、ポンド円は162円台後半から164円付近で上に往って来い。米株先物・時間外取引が前日の大幅高の調整に押されており、足元では円買いの動きが優勢になっている。この日発表された4月ユーロ圏消費者物価速報は前年比+7.5%と前回並みの高水準が持続した。ユーロ圏第1四半期GDP速報値は前期比+0.2%とかろうじてプラスを維持した。
NY市場は月末の取引ということもあり、ドル買いも一服する中、ドル円は130円を再び割り込だ。米株式市場でダウ平均が一時1000ドル超下落するなどリスク回避の雰囲気も加わり、一時129円台前半まで下落する場面も見られた。