(3日)
東京市場は、ドル円が振幅。全般的にはドル買いが優勢。週末にOPECプラスが協調減産を発表。予想外の減産にNY原油先物が急騰し81ドル台後半を付けた。ドル高が一気に進む展開となり、ドル円は先週末の132円台後半から133円台前半に急騰して取引をスタート。133円を挟んで激しく振幅したあと、133.59近辺まで買われた。NY原油の上昇が米国のインフレ期待につながり、ドル高が進むという流れ。CMEのFedWatchツールによると、次回5月の米FOMCについて、先週末時点では金利据え置きが多数派となっていたが、減産発表の影響で25bp利上げ見通しが据え置き見通しを上回った。ドルは、ほぼ全面高。ドル円と違って一方向の動きとなっており、ユーロドルは1.0840台から1.0780台へ、ポンドドルは1.2340前後から1.2270台へ下落。ただ、産油国通貨には買いが出ており、ドルカナダは朝方に1.3480台と、2月21日以来のドル安カナダ高水準を付けた。カナダ円は98.80台と3月10日以来の高値水準。ノルウェークローネなど、その他の産油国通貨も朝方に買いが入っていた。豪ドルは対ドルで0.67台を回復した後はドル高の勢いに押され0.6650台まで軟化。
ロンドン市場は、ドル売りが優勢。週明けのオセアニア市場では原油が急騰した。週末にサウジなどOPECプラスが予想外の減産方針を表明したことが背景。市場ではインフレ警戒から米利上げ観測が高まり、米債利回り上昇とともにドル買いの動きがみられた。ドル円は東京午後に133.76近辺まで高値を伸ばした。しかし、ロンドン時間に入ると米債利回りが低下に転じ、ドルも売り戻されている。ドル円は133.20付近に反落。上に往って来いの値動き。ユーロドルは1.08台割れへと軟化したあと、ロンドン時間には買いが優勢になり高値を1.0870付近に伸ばした。ポンドドルは1.22台後半から1.2360付近に上昇。豪ドルやカナダドルなど資源国通貨や石油関連通貨も買われている。欧州株では石油株や銀行株が堅調。リスク選好ムードもドル売りにつながっている。クロス円は円安方向に振れてユーロ円は144円台後半、ポンド円は164円台後半に高値を伸ばしている。独仏ユーロ圏、英国などの製造業PMIは確報値ということもあり、市場は反応薄だった。NY原油相場は80ドル付近に高止まりしており、OPECプラス会合の行方を見守っている。
NY市場では、ドル売りが強まった。米ISM製造業景気指数が弱い内容となったことで米国債利回りが急低下したことが背景。ドル円は132円台前半まで急速に下落した。金融不安の後退で市場のセンチメントは改善しているが、弱い米指標を受けて景気先行きへの不透明感から市場の年内利下げ期待は根強いようだ。早ければ夏以降にも実施される可能性を留意する動きを織り込んでいる。ECBや英中銀が予想以上にタカ派姿勢を堅持していることもあり、ドルを積極的に買うインセンティブに乏しい。ユーロドルは買い戻しが強まり、一時1.09台に上昇。アジア時間の1.07台から戻している。NY時間に入ってECB理事のホルツマン・オーストリア中銀総裁の発言が伝わっていたが、「5月の理事会での50bpポイントの大幅利上げの選択肢は残されている」と述べていた。ポンドドルも買い戻されて1.24台まで上昇。これまで4月はポンド買いが強まる季節と言われてきた。配当の支払いなどもあり、歴史的にポンドにとってプラスの月ではあったが、ストラテジストの分析によると、近年この関連性は薄れて来ているという。
(4日)
東京市場では、ドル円が買われた。朝方には前日NY市場の安値を割り込み、132.17近辺まで下落した。その後は一転して上昇。NY原油がしっかり。一時81ドル台を付ける中、米インフレ期待が再燃してドル高となった。午後に入ってもドル高基調が継続し、132.98近辺に高値を伸ばした。ユーロドルは東京朝方に1.0910近辺へと買われたが、午後に入るとドル高の動きから1.0880台へと下落した。13時半の豪中銀金融政策理事会は市場予想通り政策金利を据え置いた。利上げを見込む動きが3割ほど見られたため、相場への影響が期待されたが、声明で必要であれば追加利上げを実施する姿勢を示したことなどから、豪ドル売りは限定的なものにとどまった。豪ドル/ドルは0.6780台で発表を迎え、その後の下落は0.6758前後までにとどまった。豪ドル円は89.90台から89.70割れまでの限定的な下げだった。
ロンドン市場は、ドル安・円安の動き。欧州株が堅調に推移、まちまちの動きだった米株先物も主要3指数がそろってプラス圏を回復している。特段の新規材料はみられていないが、前日の米ISM製造業景気指数が予想を下回ったことが、米金融当局の引き締め姿勢緩和への期待につながった面が指摘される。原油相場は引き続い底堅く、NY原油先物は81ドル台で取引されている。クレディスイスCEOは株主総会で謝罪した。ECBの消費者期待インフレ調査によると、今後12カ月のインフレ予想が4.9%から4.6%に低下した。ハト派で知られるテンレイロ英中銀委員は、「CPI目標の達成には、より金融政策を緩めること必要」「現在の高金利は急激な反動を招くだろう」と主張した。いずれにも市場は直接的には反応していないが、株式市場などの好ムードにはつながったようだ。ポンド買いが目立っており、対ドルで1.24付近から一時1.25台乗せ、対円で164円台後半から166円台乗せへと上伸。ユーロドルは1.08台後半から1.09台前半へ、ユーロ円は144円台半ばから145円台前半へと買われている。ユーロは対ポンドでは売られている。ドル円は132.50付近に下押しされたあとは一時133円台乗せと下値が堅かった。
NY市場では、前日と同様にドル売りが強まった。ドル円は131円台に急落。2月の米求人件数が予想以上に減少したことで、米国債利回りが急低下、ドル円も戻り売りを強めた格好。2月の米求人件数は993万件と前回の修正値から大幅に減少した。1000万割れは2021年5月以来で、一部の産業における労働需要の冷え込みを示唆している。ただ、FRBにとっては依然タイトな状況を示す内容ではある。前日はISM製造業景気指数が予想以上に弱い内容だったが、本日の米求人件数と伴に、米経済の軟化を示す指標が相次いでおり、米経済の先行きに対する不安感に市場の意識が傾いているのかもしれない。米株式市場も戻り売りが優勢となっており、円の買い戻しがドル円を圧迫した面も。ユーロドルは上値追いが続き1.09台を回復。一時1.0975付近まで上昇し、1.10ドルの節目と2月に付けた年初来高値1.1035付近を視野に入れている。ポンドドルも買われ、1.25台を一時回復。12月と1月に上値を拒んでいた1.24台前半から半ばの水準を突破し、年初来高値を更新した。このところの英経済指標の堅調さや、外的ショックに対する英銀行セクターの堅剛さ、そして、英中銀のタカ派スタンスにより、ポンドは年初来で主要通貨の中で最も良好なパフォーマンスを示している。英中銀チーフエコノミストのピル委員の発言が伝わっていたが、「英国のインフレは受け入れがたいほど高く、持続的なインフレは金利上昇を正当化する」と、追加利上げの可能性を示唆した。
(5日)
東京市場では、NZドルが急伸。NZ中銀は予想外に50bpの大幅利上げを実施した。市場予想はほとんどが25bp利上げだった。景気減速の兆しがあることを認めたものの、インフレを目標に戻すために需要減が必要という姿勢を示した形。前日の豪中銀が据え置きとなっていたこともあり、かなりサプライズな大幅利上げとなった。NZドルは一気に買われ、対ドルで0.6300台から0.6370台に上昇。対円は83円割れから83.90近辺まで買われた。一方、豪ドルは軟調。ロウ豪中銀総裁は、総裁が金融引き締め姿勢の継続を示したが、豪ドル買い反応は限定的。前日の豪中銀の据え置きと、今日のNZ中銀の大幅利上げという対照的な動きが相場に影響した。対NZドルで1.0611まで下落し年初来安値を更新している。豪ドル円は88円台半ば、豪ドルドルは0.6730台まで下落した。
ロンドン市場は、ドル売りが一服。欧州株や米株先物・時間外取引は小安く推移。米債利回りは前日の低下の動きからやや調整されている。前日のNY市場では米JOLTS求人数が減少したことがドル売りにつながった。きょうはこのあとに米ADP雇用統計や米ISM非製造業景気指数などが発表される。指標発表前の調整の面が強いようだ。ドル円はロンドン序盤に131.24近辺に安値を広げたあとは下げ一服となり131円台後半で揉み合っている。ユーロドルは1.0965近辺まで買われる場面があったが、その後は上値重く1.09台前半に軟化。ポンドドルも1.25台に一時乗せたあとは1.2450台へと下押し。豪ドル/ドルは東京市場から引き続き軟調で、0.67台を割り込んでいる。NZドル/ドルは0.63台割れと、中銀の大幅利上げを受けた上昇を解消した。クロス円でも豪ドル円やNZドル円は軟調。ポンド円やユーロ円は序盤に下げたあとは揉み合いとなっている。ユーロ圏非製造業PMI確報値は55.6から55.0へと下方改定され、同英PMI確報値は52.8から52.9へと小幅に上方改定された。独有力経済研究所の合同経済予測では、ドイツ経済は冬季の景気後退を回避する見込みとされ、2023年通年成長を+0.3%と予測、昨年秋の-0.4%予想から上方修正された。クロアチア中銀総裁やスロベニア中銀総裁らはコアインフレの上昇に警戒感を示し、追加利上げの必要性を指摘した。
NY市場では、ドル円が下落。一時130.60円近辺まで下落する場面が見られた。米ADP雇用統計が予想を大きく下回ったほか、米ISM非製造業景気指数も予想を下回り米債利回り低下とともにドル円相場を圧迫した。発表後の動きが一巡すると押し目買いも入り131円台に戻したものの、きょうの下げで再び下向きの流れを強めている。今週発表のISM製造業景気指数、前日の米求人件数、そして、この日のADP雇用統計、ISM非製造業景気指数も弱い内容となったことから、市場は米景気の先行き警戒感への意識を強めているようだ。市場は早ければ夏以降に利下げのシナリオを織り込む動き。ユーロドルは戻り売りに押されて一時1.08台に反落。ポンドドルも1.24台半ばへと伸び悩んだ。3月調査分のISM非製造業景気指数は51.2と前回から大幅に低下。判断基準の50は上回っているものの、この先の不安感を高める結果となった。力強さを残していたサービス業にも次第に黄色信号が点灯し始めていることが示唆されていた。ADP雇用者数は14.5万人増と市場予想21万人増、前回の26.1万人増を大きく下回った。
(6日)
東京市場で、ドル円は下に往って来いとなった。朝方は円買いが先行し、131円台前半から130.78近辺まで下落。前日までの一連の米経済指標の弱さが米景気鈍化懸念のリスク回避につながった。ただ、あすには3月米雇用統計発表を控えていることからポジション調整が入り、午前の下げを帳消しにして131円台前半へと戻した。ユーロ円も午前中には3月29日以来およそ1週間ぶりの安値水準となる142.55付近まで一時下落。午後は下げ一服となり、143円台を回復した。ユーロドルは午前に1.0885前後まで弱含んだあと、午後は安値圏もみ合いとなった。
ロンドン市場は、ドル売りが先行も持続性に欠ける展開。明日のイースターと米雇用統計を控えて、次第に様子見ムードが漂ってきている。ドル円は東京市場からの買い戻しの流れで131円台半ばへと上昇。ただ、一方的な動きにはならず131円台前半での揉み合いが続いた。一時131.57近辺まで買われたが、上値追いの勢いには欠けて131円台前半に戻している。欧州株は小高く推移、米株先物は高安まちまちも値幅は限定的。米債利回りは低下の動きが先行したが、次第に下げ渋りとなっている。ユーロドルは1.0917近辺までの反発をみせたあとは1.09ちょうど挟みで揉み合っている。ポンドドルも1.24台半ばから一時1.2487近辺まで買われたあとは、再び1.24台半ばでの揉み合いに。ユーロ円は欧州株高もあって買いが先行したが143円台前半を中心とした取引にとどまっている。ポンド円も買いが先行したが164円は付けきれず163円台前半まで反落したあとは163円台後半での推移。ユーロ対ポンドの取引も方向性はみられていない。この時間帯に発表された経済指標については、ドイツと英国の建設業PMIはいずれも前回から低下したが、反応薄だった。レーンECBチーフエコノミストが5日に講演した内容が報じられており、5月会合までに基本シナリオに戻れば、利上げが適切に、と述べていた。
NY市場では、米経済統計をめぐり振幅も方向性は見いだせず。ドル円は朝方発表の米新規失業保険申請件数が予想を上回る数字だったことで瞬間的にドル売りが強まり、131円ちょうど付近に急速に下落する場面が見られた。しかし、直ぐに買い戻しが強まると131.90近辺まで買われた。その後は131円台後半で推移した。ユーロドルは1.09ドルちょうどを挟んで方向感のない値動きが続いていたが、やや買いが出ており、1.0930付近での推移に落ち着いた。ポンドドルは戻り売りが優勢となり、一時1.24ドル台前半まで下落する場面が見られた。ただ、下押す動きまではなく1.24台は維持した。3月からの上昇トレンドはしっかりと堅持している。ユーロ対ポンド相場では、ユーロ買いが優勢だった。市場では欧州のコアインフレの上昇やタイトな労働市場を受けて、金融環境もしばらく十分に制限的な領域にはない可能性があり、ECBは中銀預金金利のターミナルレート(最終到達点)4.00%に向けて、0.25%ポイント刻みで利上げを継続するとの見方があった。
(7日)
東京市場は、落ち着いた値動きが続いた。今日はグッドフライデーで香港、豪州が休場となりアジア市場での参加者が少なくなっていることに加え、このあとの欧米市場も休場となる。日本時間午後9時30分には3月の米雇用統計の発表を控えていることも影響。相場には勢いが見られず、動意に欠けた展開に。ドル円は朝方に前日高値を上回る131.92近辺まで買われたが、その後は伸び悩んで131円台後半での小動きとなっている。 ユーロドルは1.09台前半を中心とした推移。ユーロ円は午前に一時144円ちょうど付近まで強含んだものの上値は重く、その後は143円台後半で小動きとなった。
ロンドン市場では、グッドフライデーの休場が相次ぐなかで、取引中盤に米雇用統計が発表された。雇用増は市場予想を小幅に上回る程度だったが、市場にインパクトを与えたのが予想外の失業率の低下だった。3.5%と1月の最低水準3.4%に次ぐ低水準となった。労働参加率の上昇も労働市場の強さを示していた。平均時給は前月比ではやや伸びが加速も前年比は伸びが鈍化した。発表直後は米債利回り急伸とともにドル買いが殺到。ドル円は131円台後半から132円台乗せへと上昇。ユーロドルは1.09台割れ、ポンドドルは1.24台割れとなった。一方で、ユーロ円は144円台乗せ、ポンド円は164円台乗せへと買われており、ユーロドルやポンドドルは下げ渋っている。米株先物はマイナス圏からプラス圏へと転じている。
NY市場は、グッドフライデーのため休場。債券市場は短縮取引。