(16日)
東京市場は、ドル円が下落。週明けの東京市場では先週末のリスク警戒後退の流れもあって、堅調なスタート。ドル円は129.60台まで買われ、先週末高値を更新した。しかし、仲値を過ぎたあたりからは一転して下落。日経平均が上げ幅を縮小、先週末終値近辺へと前場で反落。ドル円は128.70近辺まで下押しされた。午後には下げ一服も、129円挟みで売買が交錯した。ユーロ円は134.40台まで買われたあとは133.75近辺まで下落。ドル円と同様の値動き。ユーロドルは1.04挟みでの推移。フィンランドに続いてスウェーデンも与党がNATO加盟支持を打ち出し、17日にも申請へとの報道が入ったが、すでに織り込み済みとされて影響は限定的に。
ロンドン市場は、円安・ドル安とリスク警戒後退の動き。ドル円の下押しは128.80付近までと東京昼頃の安値には届かず。その後は129.60近辺まで買われた。米株先物・時間外取引が下げ渋りとなったことに反応した。クロス円も買われた。ユーロ円は135円台をつけており、東京市場での下げを消した。ポンド円は158円台を回復している。ドル円以外の主要通貨ではドル売りに。ユーロドルは1.0400挟みでの揉み合いから1.0430台へと水準を上げた。ポンドドルは1.2220割れまで軟化したあとは、1.2270付近まで上昇。ユーロドルとともに買い優勢となっている。
NY市場では、売買が交錯。ドル円は朝方に129.60付近まで上昇も、その後は一時129円だ割れ。取引後半には129円台前半で揉み合った。米株の下げ一服とともにリスク回避ムードが一服。ただ、この日発表された中国4月の小売売上高と鉱工業生産が予想を下回るなど世界経済への不透明感も広がった。FRBなどの利上げ路線とともに、中国ロックダウンの影響が懸念された。ユーロドルはロンドンフィキシングにかけて売りがでて、1.03台に再び値を落とす場面があった。ただ、その後は1.04台を回復と下げ一服。ビルドワドガロー仏中銀総裁が、「ECBの正常化について明確なコンセンサスが形成されつつあり、6月の理事会は決定的なものになるだろう」と語ったことを受け、ECBの利上げ期待からユーロの買い戻しを誘っていた。ポンドドルは1.23台を回復。ただ、市場では弱気な見方も根強い。北アイルランド議定書をめぐる緊張が再び脚光を浴びポンドを圧迫する中、リスク志向が引き続き悪化した場合、今週中に1.20を割り込む可能性も指摘された。
(17日)
東京市場では、ドル円が下押し後に反発。朝方には128.80台まで下落。NY市場で低下した米債利回り動向が重石となった。その後は一転して買い戻され、午後には129.40台まで上昇。米10年債利回りはNY市場での2.85%台から2.92%まで上昇、ドル買いを誘った。ただ、昨日の海外市場で売りがでた129円台後半には届かず。ユーロ円は朝方にドル円の下げとともに124.50台まで下落したが、その後は135円台をしっかりと回復した。ユーロドルは朝方のドル売り局面で1.0440台へと上昇。その後も底堅さを維持して1.04台半ばでの揉み合いに。
ロンドン市場は、欧州通貨が買われている。ポンドはロンドン朝方に発表された英雇用統計の改善を好感して上昇。1-3月期失業率が3.7%へと低下、求人数が失業者数を統計開始以来初めて上回った。賃金上昇率も加速している。これを受けて、ポンドドルは1.23台から1.24台後半へ、ポンド円は159円台から161円台へと大きく買われた。ユーロ相場も連れ高となったが、クノット・オランダ中銀総裁が、7月利上げについて25bpが現実的としながらも、インフレが広範かつ累積的に上昇するならば50bp利上げの可能性排除すべきではない、と発言したことで、ユーロが一段高となった。ユーロドルは1.04台後半から1.05台前半へ、ユーロ円は135円台から136円台乗せへと上伸した。対ポンドではユーロ売りが先行も、発言後は買い戻しが入っている。ドル円は129円台前半での揉み合いが中心で、一時129.50レベルを上回ったが、すぐに売り戻されている。欧州株や米株先物・時間外取引は堅調に推移。NY原油先物は115ドル付近へと上昇。リスク動向は回復している。
NY市場では、ドル円が買い戻されるなかで、ドル自体は売り優勢。ドル円は買い戻しの流れが続き、129円台で推移している。リスク回避が一服しており、米株式市場も買い戻しが膨らむ中で、円安の動きがサポートした。ロックダウンを実施していた中国の上海市が6月から企業の生産活動と市民生活を全面的に正常化すると発表したことが好感されている模様。NY朝方に4月の米小売売上高が発表にされ、高インフレにもかかわらず商品への需要がなお底堅いことを示していた。午後になってパウエルFRB議長のイベントでの発言が伝わった。議長は「経済が想定通りに推移すれば、0.50%利上げを議題に乗せる」と述べたほか、「必要なら中立水準を超える利上げを躊躇しない」とも述べていた。また、「いまにして思えば、もっと早く利上げすべきだった」と、後手に回ったことを暗に認めるような発言も聞かれた。ユーロドルは買い戻しが加速、ストップを巻き込んで1.05台半ばまで上昇。ポンドドルは1.25台目前まで買われた。ただ、大台乗せには至らず1.24台後半に落ち着いた。ユーロ、ポンドともにロンドン市場からの堅調な流れを維持した。
(18日)
東京市場は、ドル円の上値が重かった。朝方に129.50レベルを上回ったが、すぐに売りに押されると午後には129円を一時割り込んだ。前日NY市場でドル買いを誘った米債利回りの上昇が一服したことに反応。米10年債利回りは節目の3%をつけきれずに2.96%台へと低下した。日経平均が上げ幅を縮小したこともドル円の売り圧力に。中国の住宅市場が弱い結果だったことがリスク警戒の動きとなった。ユーロ円も136円台半ばから135円台後半へと軟化した。ユーロドルは前日の上昇を受けて1.0560台まで買われたが、その後は利益確定売りなどで1.0520台まで反落。豪ドルが軟調。中国住宅指標とともに豪州の第1四半期賃金指数が予想を下回ったことが売りを誘った。
ロンドン市場は、ポンド売り主導でドル買いが広がった。前日のポンド買いに調整が入る形。きっかけとなったのがロンドン朝方に発表された4月英消費者物価指数。前年比+9.0%と前回+7.0%から一段とインフレが加速した。しかし、市場予想にわずかに届かなかったことでポンド売りの反応が広がった。ポンドドルは1.25手前水準から一時1.23台後半まで下落。その後は1.24台に戻したが、上値は抑えられている。ユーロドルも連れ安となり、1.05台前半から一時1.05台を割り込んだ。ドル円は東京午後に129円台割れへと下落したが、ロンドン時間には129円台前半へと戻す動き。米10年債利回りは2.95%台から1.99%付近で上下動しており、きょうはドル相場との連動性は薄い。クロス円はポンド円の下落で全般に上値が重い。欧州株は揉み合いも、米株先物がやや売りに押されており、円高圧力となる面も。ポンド円は161円台から一時160円台割れへと下落。ユーロ円は136円付近から135円台後半へと軟化。ECB当局者らからは、7月利上げを支持する発言が相次いだが、織り込み済みとして市場は反応薄だった。4月ユーロ圏消費者物価指数・確報値は前年比+7.4%と速報値から変わらずだった。
NY市場では、株急落のなかでリスク回避の動きが広がった。前日に続いてこの日の米小売企業決算も弱かったことがきっかけ。ダウ平均は一時1200ドル超急落した。市場の反応は鈍かったものの、前日のパウエルFRB議長の講演はこれまで以上にタカ派な印象ではあった。当面はFRBの大幅利上げが続くとの見方に変化はない。ただ、現在の市場は利上げ自体の行方以上に、それに伴う景気への影響を警戒している。ドル円は128円付近へと下落し、大台割れを試した。ユーロ円は一時134円台割れ。ユーロドルは1.05台割れから1.04台半ばまで下落。ポンド円は一時158円台割れ。ポンドドルは1.23台前半まで下落。高インフレが続くなかで、各国中銀の金融引き締めが景気後退、株式市場の不安定化につながる状況となっている。景気先行き、市場の金融引き締めの織り込み度合や、今後のインフレのピークアウトなどに相場参加者は神経を尖らせている状況。
(19日)
東京市場では、ドル円が反発。前日の米株大幅安を受けたリスク警戒の円買いを受けて、朝方には127.90近辺まで下押しされた。ユーロ円も134円台割れと円買いが先行。しかし、その後は一転してドル円、クロス円が反発。米株先物・時間外取引が下げ渋りの動きとなったことに敏感に反応した。昼にかけてはダウ先物ととにもS&P500先物もプラス圏を回復。ドル円は128.95近辺、ユーロ円は135.46近辺まで高値を伸ばした。ロンドン勢の本格参加を前に円売りは一服。ドル円は128.60台、ユーロ円は135円台割れの動きに。10時半に発表された豪雇用統計は雇用者数の伸びが予想を大きく下回ったものの、正規雇用が大きく伸びたことや、失業率が予想通りとはいえ前回から低下して過去最低水準を更新した。
ロンドン市場は、株安が続くなかで、円買いとドル売りが混在している。前日の米株の急落を受けて、市場にはリスク警戒感が再び高まっている。欧州株が大幅安となっているほか、米株先物・時間外取引も再び下落。インフレや金融引き締めの動きが企業の先行き見通しに影を落としている。ドル円は東京市場で129円手前まで反発したが、東京午後からロンドン時間にかけては売り圧力が強まっている。128円台割れから安値を127.58レベルまで広げている。クロス円も軟調で、ユーロ円は134円を一時割り込み、ポンド円も158円近辺へと下落した。いずれも東京市場の上げを消した。株安とともに米債利回りが低下、ドル相場全般にドル安圧力が優勢に。ユーロドルは1.0460台まで下げたあとは上昇に転じ、1.05台に乗せている。ポンドドルも1.2350割れまで売られた後は、買いが強まり1.24台に乗せている。3月ユーロ圏経常収支は16億ユーロの赤字に転落。独建設業生産高も前月比横ばいと停滞。その一方で、英CBI製造業受注指数は予想外の上昇となり、輸出受注の回復に支えられた。
NY市場は、ドル売りが優勢。きょうのNY市場もリスク回避ムードを強めたが、為替市場ではドル売りの反応がみられた。ユーロの買い戻しが活発化していることが相対的なドル売りに繋がっているとの指摘も出ていたが、特段のドル売り材料はない。そのような中でドル円は一時127円台前半まで下げ幅を広げ、先週安値の127.50円付近を下回る展開が見られていた。きょうのドル売りについて一部からは、最近の急上昇後の転換点が接近しつつあるとの見方も出ている。金融情勢のさらなる悪化で、市場がFRBの引き締め期待を弱める段階にある半面、世界の他の地域、特にユーロ圏に関しては、市場がまだ大幅な引き締めを織り込んでいることを理由として挙げている。しかし、ドル高期待を温存している向きが圧倒的に多いのも実情。ユーロドルは買い戻しが活発化し、一時1.06台まで急速に買い戻された。ユーロ買戻しの直接的な材料は見当たらないが、ここに来てECBの利上げ期待が活発化しており、ユーロに見直し買いが入っているとの指摘も出ている。ポンドドルは一時1.25台まで急反発。ただ、市場では英景気減速を懸念する声もあり、今後のポンド相場の重石となるとの見方もあった。
(20日)
東京市場は、方向性に欠ける振幅。ドル円は午前に128.21近辺まで上昇。前日のドル安の動きに再び調整が入った。日本株・アジア株が堅調に推移しており、リスク回避ムードが一服した面も。中国はローンプライムレート5年物を4カ月ぶりに引き下げた。ユーロ円は135円台半ば超えまで買われた。しかし、円安の動きは続かず。昼過ぎにはドル円が127.50台、ユーロ円が134.70台まで反落。その後は下げ一服もレンジ内での推移にとどまっている。ユーロドルは午前に1.0550台まで下押しされたあと、再び買われて1.06台に接近している。米債利回りの戻りは限定的で、前日からのドル売り圧力が根強い印象。
ロンドン市場は、やや円売りの動きが優勢。この日は日本株・アジア株に続いて欧州株や米株先物が堅調に推移。リスク警戒感が緩和されている。週末を控えて先物に買い戻しが出ている面もありそうだ。為替市場では東京市場でドル円、クロス円が下押しされる場面があったが、ロンドン時間に入ると上昇に転じている。ドル円は127円台後半から128円台前半へ、ユーロ円は135円付近から135円台後半へ、ポンド円は159円台前半から160円台乗せまで一時買われている。ドル相場は前日からのドル安水準を踏襲しており、ユーロドルは1.06手前、ポンドドルは1.25手前水準まで買われたあとは、高止まりとなっている。この日発表された4月英小売売上高は予想外の上昇となり、対ユーロなどでポンド買いの動きがみられたが、足元ではポンド買いは一服している。
NY市場はリスク警戒感の強い展開に。序盤は週末を前にした米株の買い戻しが見られ、ドル円が128円20銭台まで買い戻されるなど、円売りの動きが優勢となった。その後米ダウ平均株価が朝の高値から800ドル超の下げを付ける中で、リスク警戒のドル買い円買い資源国通貨売りなどが見られた。もっともドル円は東京午前の安値を割り込まず、その日のレンジの中での取引に終始。引けにかけてポジション調整から米株が買い戻され、ダウ平均株価が小幅ながらプラス圏で引ける動きを見せる中で、ドル円もしっかりとなったが、127円90銭台まで。