きょうも市場はリスク回避の雰囲気を強めたものの、為替市場はドル売りの反応が見られた。ユーロの買い戻しが活発化していることが相対的なドル売りに繋がっているとの指摘も出ていたが、特段のドル売り材料はない。
そのような中でドル円は一時127円台前半まで下げ幅を広げ、先週安値の127.50円付近を下回る展開が見られていた。きょうの下げで21日線を完全に下放れる動きが見られ、目先は125円までの調整も有り得るとの声も出ているようだ。
きょうのドル売りについて一部からは、最近の急上昇後の転換点が接近しつつあるとの見方も出ている。金融情勢のさらなる悪化で、市場がFRBの引き締め期待を弱める段階にある半面、世界の他の地域、特にユーロ圏に関しては、市場がまだ大幅な引き締めを織り込んでいることを理由として挙げている。しかし、ドル高期待を温存している向きが圧倒的に多いのも実情。
ユーロドルは買い戻しが活発化し、一時1.06ドル台まで急速に買い戻された。ロンドン時間には1.0465ドル付近まで下落。ユーロ買戻しの直接的な材料は見当たらないが、ここに来てECBの利上げ期待が活発化しており、ユーロに見直し買いが入っているとの指摘も出ている。
一方、市場のECBの利上げ期待は行き過ぎとの指摘も少なくない。ユーロの金利カーブは現実的な水準よりも多くの引き締めを織り込んでおり、短期金利は過度に高水準で推移している。そのような中でECBの引き締めが期待よりも穏やかであれば、最終的に金利のボラティリティは低下する可能性が高いという。
短期金融市場では現在、年内のECBによる利上げを約1.09%と見積もっている。つまり年末までに0.25%ずつであれば、少なくとも4回の利上げに相当する。
ポンドドルも買い戻しが活発化し、一時1.25ドル台まで急速に買い戻された。ロンドン時間の朝方には1.2350ドル付近まで下落。きょうの上げで21日線を上回って来ており、本格的なリバウンドになるか注目される。
ただ、ポンドには引き続きネガティブな見方が多い。ポンドは過小評価されていると考えるが、更に下落の可能性があるとの指摘も出ている。長期的な評価モデルに基づけば、適正水準はポンドドルで1.45ドル前後、ユーロポンドで0.78ユーロ前後だが、英経済の減速により、ポンドはここから更に下落してもおかしくはないという。
英中銀は景気減速と高インフレというジレンマに直面しているが、最近は成長への懸念に意識をシフトしている気配も見られ、利上げにさほど積極的でなくなっている。これは将来的にポンドの重石となる可能性があるという。ポンドドルは2023年の第4四半期までに1.18ドルまで下落すると見ているようだ。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美