全体的には想定よりもタカ派な印象だが、市場は全会合での利上げを事前に織り込んでいた面もあったことから、ある種の材料出尽くし感が出たのかもしれない。これ以上はタカ派にはならないと感じている可能性もありそうだ。注目のバランスシート縮小について具体的な時期は示さなかったが、パウエル議長は早ければ5月にも発表の可能性も示している。そのほか、議長はインフレについて、前月比では落ち着くとの見通しを示していた。
ドル円はFOMCの結果発表に119円台に上昇したが
、FOMC前の118.65円付近に戻している。ただ、明日以降、120円を視野に入れる展開になるか注目の展開ではあった。
ユーロドルも一時1.0960ドル近辺まで下落したものの、1.10ドル台に戻した。市場からは、今年前半のユーロ圏はリセッションに陥るリスクが高いとの見方も出ている。ウクライナ危機によりコモディティ価格が高騰し、エネルギー価格が上昇する中で、年央までにユーロ圏のインフレは6%を超え、個人消費に影響を与えるという。ECBは成長見通しを楽観視し過ぎているとも指摘しており、年末と予想されている利上げが23年初めにずれ込む可能性はまだ十分にあるとも付け加えた。
ポンドドルは1.31ドル台を回復。明日は英中銀金融政策委員会(MPC)が開催される。0.25%の利上げが確実視されている中で市場では、英中銀は5月にも追加利上げを行うとの見方も多く、その可能性を示唆してくると期待されている。市場の見立て通りに5月も利上げを実施した場合、政策金利は1.00%に達するが、その金利水準は英中銀が保有国債の売却開始の最低条件としている。ただ、市場では売却が始まるまでに数週間から数カ月のタイムラグがあると見られており、その辺について何らかのヒントが出るかも注目されているようだ。
現在のポンドのパフォーマンスは、英中銀が年内に利上げサイクル終了時点(ターミナル・レート)付近まで政策金利を到達させるとの見方を反映させようとしているとの見解も出ている。今回の利上げサイクルを通して今後、他国に対する金利の優位性を完全にポンドに織り込まれると仮定した場合、いずれポンドの上昇余地は限られてくると指摘している。ただ、英中銀のインフレ志向はG10の中で最も強く、明日はハト派的な利上げであっても、短期的にはポンドは底堅く推移する可能性はあるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美