FRBは前日のFOMCで、想定通りに0.25%の利上げを発表し、引き締めサイクルを開始した。FOMCメンバーの金利見通し(ドット・プロット)では、0.25%ずつであれば、年内は会合ごとに利上げを行う可能性を示唆。また、パウエルFRB議長は、バランスシート縮小を5月にも発表する可能性を示し、0.50%の大幅利上げの可能性も排除しないタカ派姿勢を強調していた。パウエル議長は物価安定が最優先事項とし、金利が中立を超える必要があることを示唆したドット・プロットを、現段階では支持しているようだとの指摘も出ていた。
なお、2023年末のドット・プロットの金利見通しの中央値は2.875%(2.75-3.00%)。市場の推計では中立金利は2.50%程度との見方が多い。
そのほか、2023年末から2024年初めにかけて米国が景気後退に陥るリスクが高まった一方、今年の景気後退リスクは特に高くはないとの見解も出ている。歴史的に見ても、利上げサイクルの開始は経済的に問題点ではないという。
ユーロドルは買い戻しが加速し、1.11ドル台を回復。本日の21日線が1.1110ドル付近に来ているが、1.1135ドル付近まで上昇し、21日線を上回る場面も見られた。
ECBも先日の理事会で予想外にタカ派姿勢を示し、年内の利上げ開始に可能性を残している。きょうはECB理事のクノット・オランダ中銀総裁の発言が伝わり、すでに高水準の消費者物価が上振れするようならば、年内2回の利上げを行う可能性も排除しないと発言していた。ウクライナ危機の不透明感にもかかわらず、十数年ぶりの利上げが今後数カ月で実施される可能性があるとも述べていた。
ポンドドルはこの日の英中銀金融政策委員会(MPC)を受けて売りが強まった。予想通りに3回連続での0.25%の利上げを実施して来た。ただ、委員の投票行動は8対1での賛成で、1名は0.50%の大幅利上げではなく、据え置きを主張していた。その1名はカンリフ副総裁だった。
議事要旨では将来の利上げに関する表現を和らげ、今後数カ月に追加引き締めが適切になる可能性があるとした。2月には可能性が高いだった。今回の判断には上下両方向のリスクがあるとも説明していた。高インフレとウクライナ危機が及ぼす成長への脅威の両方を踏まえ、今後数カ月の判断がますます微妙なバランスの上に立つことを示唆した。
市場からは、年内のポンドドルは下落が続く可能性が高いとの見方も出ている。英中銀は今年末までに1.25%までしか利上げをできず、市場が現在示唆している水準を大幅に下回るという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美