ウクライナ危機解決に向けた協議進展のニュースが週末に伝わり、市場はリスク回避の雰囲気を一服させた。週末にウクライナとロシアの停戦協議にやや進展の兆しを伝える報道が流れていたが、ロシア側は「ウクライナでの作戦計画は全て実現する」とも述べており、出口が見えるかは依然として不透明な情勢に変化はない。ただ、このところの急落からひとまず一服感が出ているといったところのようだ。
今週はFOMCが予定され、0.25%の利上げとバランスシート縮小に関する堅実な内容が期待されている。パウエルFRB議長も、インフレ抑制のために追加利上げが必要であることを示唆しそうだ。市場はすでに織り込んでいるが、為替市場がどのような反応を示すか注目される。FRBにはインフレ抑制と雇用最大化という二大責務があるが、いまはインフレ抑制に軸足を置いた政策を優先する局面と見ているようだ。市場は年内7回の利上げを完全に織り込んでいるようだが、市場からは期待しているほどタカ派にはならないとの見方も出ている。
ユーロドルは買い戻しの動きが見られ、1.09ドル台後半まで一時上昇。ただ、1.10ドル台には慎重。先週はECBが予想外にタカ派姿勢を強めたことから、ユーロドルは1.10ドル台に上昇していた。しかし、ウクライナ情勢に伴うエネルギー高は欧州経済が最も影響が大きいとの見方もあり、景気の先行き不安から、ECB理事会後の上げは維持できていない。
一部からは、ECBの最初の利上げは12月、資産購入プログラムは6月に終了との見方も出ている。これはウクライナ危機が収束する前にも実施される可能性があるとしている。短期的に成長に大きなショックがない限り、12月までにECBが中銀預金金利の利上げ開始の条件が満たされる可能性が高いという。資産購入プロフラム(APP)の終了と最初の利上げの間に6カ月の時間差があることは、APP終了と利上げの関連性を緩めた先週のECBのフォワードガイダンス改訂と一致するとも指摘した。
ポンドドルも買い戻しが見られ、一時1.30ドル台後半まで上昇。ただ、終盤に入ると、ダウ平均が序盤の上げを失ったことから、ポンドドルも伸び悩んでいる。今週は英中銀金融政策委員会(MPC)が予定。ウクライナ危機は英中銀にとって当面の課題で、大きなリスクではあるものの、英中銀は今週のMPCで利上げを実施すると見られている。ただし、0.25%の通常の上げ幅が有力視されている状況。一方、政策委員の過半数は引き続き、追加利上げと刺激策の縮小を支持すると予想される。
さらなるインフレ圧力は大幅利上げの根拠を再確認させるかもしれないが、家計所得の圧迫が強まっており、今回は慎重なアプローチを取るものと見られている。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美