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【来週の注目材料】年内最後の日銀金融政策決定会合、来年に向けた地ならしあるか

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2023-12

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2023-12-18
市場予測
【来週の注目材料】年内最後の日銀金融政策決定会合、来年に向けた地ならしあるか

【来週の注目材料】年内最後の日銀金融政策決定会合、来年に向けた地ならしあるか

 18日、19日に年内最後となる日本銀行金融政策決定会合が開催されます。19日昼前後の会合終了後すぐに結果が公表され、同日午後3時半から植田日銀総裁が会見を行う予定となっています。

 今回の会合は世界的に注目を集めるものとなっています。そのきっかけとなったのが、 12月7日の参議院予算委員会に出席した植田日銀総裁による「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」という発言です。海外勢を中心にこの発言について早期の政策変更を示唆したものとの認識が広がり、一気の円買いを誘う展開となりました。植田総裁発言の前日6日に氷見野副総裁が、大規模な金融緩和からの出口戦略が家計、企業、金融機関に与える影響に関して「良い結果につなげることは十分可能」と肯定的な発言を行ったこともあり、一時は今回の日銀会合でのマイナス金利解除を期待する動きが海外勢を中心に広がりました。短期金利市場動向から計算された利上げ確率は40%近くまで高まる場面が見られました。植田総裁の発言は、直前の質疑内容から政策変更を念頭に置いたものではない可能性があることが報じられたことや、日銀関係者筋発言として、「マイナス金利解除、今回の会合で急ぐ必要ほとんどない」と報じられたこともあり、その後、過剰な利上げ期待は後退しています。直近では短期金利市場で99%が据え置きを見込む動きとなっています。日本国債10年物利回りは6日朝の0.617%から総裁、副総裁発言を経て8日朝に0.803%まで上昇していましたが、14日朝に0.622%まで低下。上昇分をほぼ解消する動きとなっています。
とはいえ、来年にも実施が期待されるマイナス金利解除に向けた期待を支える形とはなっており、今回の会合での何らかの姿勢の変化を期待する動きにつながっています。

 こうした中、今回の日銀会合です。上述通りマイナス金利解除は見送られる見込み。YCCの廃止や再柔軟化なども想定されていません。市場の注目は今後のマイナス金利解除などの出口戦略に向けて、会合声明や植田総裁会見での姿勢に変化が見られるかとなっています。

 日本の全国消費者物価指数(生鮮食品除くコアCPI前年比)は、2022年4月以降1年半以上にわたってインフレターゲットの2%を超えています。今年1月の4.2%をピークに若干鈍化傾向となっていますが、11月24日に発表された最新10月分の水準は2.9%と9月の2.8%から上昇するなど、一進一退を見せながらの鈍化です。生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPI前年比は4.0%となっており、かなり高い水準です。先行指標である11月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品除くコアCPI)は前年比2.3%まで鈍化しており、22日に発表される11月の全国消費者物価指数(コアCPI)も2.5%まで鈍化する見込みですが、依然として2%超え。2024年度に入っても当面は2%超えが続くとの見通しもあり、マイナス金利解除に向けた状況が揃ってきていると見られています。

 景気鈍化につながる利上げについては、一般的に世間受けが悪いですが、日銀の緩和政策維持が一時の150円を超える円安を招き、輸入物価の上昇につながったとの不満もあり、世論的にも利上げが受け入れられやすくなっているようにも見えます。

 マイナス金利解除の実施は、春闘の状況を見極めたいという意識もあり、3月18日・19日か4月25日・26日という見方が強いです。特に経済・物価情勢の展望(日銀展望レポート)が公表される回にあたっている4月会合が本線と見られています。短期金利市場では4月の会合までに利上げが行われるという確率が約75%まで上昇。通信社によるエコノミスト調査では65%以上にとなっています。

今回の会合では早期の利上げ開始に向けて、市場の期待に沿った少し踏み込んだ表現が出てくるかどうかが注目されます。日本勢は前回声明を基本踏襲したものになるとの見方が強いですが、海外勢を中心に姿勢の変化に対する期待が強いだけに、無難な表現に留まると円売り、踏み込んだ内容が見られると円買いとなりそうです。

MINKABU PRESS 山岡和雅

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