海外市場ではドル円は、連休明けの米国株相場が上昇すると、投資家のリスク選好意欲が高まり、ユーロ円などのクロス円が買われドル円も142.63円まで連れ高となった。ユーロドルは10月米住宅価格指数や同月米ケース・シラー住宅価格指数が予想を下回ったことでユーロ買い・ドル売りが先行。ユーロ円の上昇につれた買いも入り、1.1045ドルまで強含んだ。
本日からオセアニア(オーストラリア、ニュージーランド)市場や、香港市場が休場明けとなるほか、主だった欧州市場やカナダ市場も再開される。市場流動性は若干回復するとは思われるが、年末に向けてリスクを積極的に取る地合いにはなりにくく、わずかなフローでも市場が大きく動く相場展開は変わらないだろう。
本日のドル円は、まずは東京仲値にかけての値動きが警戒される。本日はスポット応当日が月末・期末・年末とあって、実需勢の動きが活発化する可能性がある。昨年も仲値にかけては、邦銀を中心にドル円を買い上げ、仲値は右寄りのレートに設定された。しかし、今週に入り仲値直前になるとドル売り・円買いが優勢になり、25・26日はともに東京時間の安値を仲値直前に更新する動きを見せている。流動性が引き続き悪いことで、仲値にかけては強引に値幅を伴う動きには要警戒となる。
ドル円の下値を支えるのは、昨日日銀が11月の全国消費者物価指数(CPI)から算出した「刈込平均値」「加重中央値」「最頻値」のインフレ基調3指標が、それぞれ低下したこと。(「刈込平均値」は、品目別価格変動分布の両端の一定割合(上下各10%)を機械的に控除した値。「加重中央値」は、中央値の近傍にある価格変化率を加重平均した値。「最頻値」は、価格変動分布において最も頻度(密度)の高い価格変化率を指す。)この3指標の伸び率が同時にすべて縮小したのは、生鮮食料品を除くコアCPIが2%を超えてからは22年4月以来となる。刈込平均値は日銀がインフレを判断する際に重要視しているともいわれているが、同平均値は9月には3.4%となり、統計が遡れる2001年以降最高となった。しかし、10月には3.0%、11月は今年2月以来となる2.7%まで低下した。11月のコア全国CPIが昨年7月以来となる2.5%まで低下したことで刈込平均値も低下予想とはなっていたが、インフレ傾向が抑えられている状況となれば、日銀の早期の金融緩和解除が遠のき円売り要因となる。
一方で、ドル円の上値を抑えるのは、昨日の米住宅指標が弱い結果となったこと。グールズビー米シカゴ連銀総裁が11月に「インフレ改善の鍵は住宅」と発言したように、第4四半期の住宅価格が落ち着いたことが確認されれば、来年の米連邦公開市場委員会(FOMC)での早期利下げ開始期待が高まることが挙げられる。
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